【学校便り】別れの時、そして旅立ちの時

【解説】平成30年10月18日記

高校入試は、一頃に比べれば大方の子どもたちが合格できるようになっています。しかし、だからといって、子どもたちは「安心」しているわけではありません。高校入試という場面に立つことで、その後の進路を考えることになるのです。どの子もが真剣に立ち向かいます。そして保護者の皆さんも真剣です。子供の将来に関わることなのですから。どこの高校で、何を学ぶことになるのか。そして高校の後はどうするのか。今の中学三年生も、そんなことをきっと考えているのでしょうね。

※初出 平成25年度 学校便り

◆公立高校の入試が間近に迫ってきました。今年の公立校入試は、3月5日(水)に学力試験が実施され、3月6日(木)に、ほとんどの高校で面接が実施されます。なお、合格発表は3月17日(月)となっています。受験生をお持ちのご家庭では、「きっと大丈夫だろう」「何とかなるだろう」という思いは持ちつつも、何か落ち着かないような気持ちでいるのではないかと思います。

 

◆今から42年前、私にとっての高校入試がありました。現在は1教科60点満点で5教科300点が総合得点ですが、私の時代は1教科100点満点の500点が合計点でした。

 

◆当時の私は、さして将来のことを真剣に考えているわけでもなく、どこの高校にしようかなと迷っている感じでした。中3の進路を決めるとき、担任の先生が私を呼んで「青坂は、どこの高校が希望なんだ?」と訊いてきました。私は、「○○高校がいいかなと考えています」と答えました。

 

◆すると担任の先生が「青坂は、将来大学には行かないのか?」と訊いてきます。私は、家の経済状態を考えたとき、大学に行くことは困難なこと、そして将来特に何をしたいと決まっているわけでもなかったので、担任の先生の質問になかなか答えられませんでした。ただ大学に行きたいという憧れみたいな気持ちはありました。

 

◆すると、再び「青坂は、将来大学には行かないのか?」と訊いてきました。私は思わず「はい、行きたいです」と答えていました。担任の先生は「それじゃ、△△高校がいいのではないか」と言ってきます。△△高校は、いわゆる進学校です。私が行ってもついていけるのだろうかという不安とともに、担任の先生に認められているのではないかというちょっぴり誇らしい気持ちになりました。

 

◆家に帰って、△△高校に行きたいという話を父親と母親にすると、父親は「仮に大学に行くことになっても、お金のことは心配しなくていい」と言ってくれました。結果、私は進学校である△△高校を受験し、何とか合格できました。

 

◆今となって思うこと。それは父親が「お金のことは心配しなくていい」と言ってくれたことで、私は大学に行き、こうして教師の道を選択できました。もし、あの時父親が「駄目だ」と言えば、私はきっと違う道を歩んでいたと思うのです。経済的に決して恵まれていなかった私にとって、父親と母親が一生懸命に働き、私を大学まで行かせてくれました。そのことに感謝するばかりです。

 

◆中学3年生が、次の進路としてどこの高校を選択するのかということは、大きな決断を必要とします。そして、どこの高校を選択したかによって、人生の道の切り開かれ方も違ってきます。もちろん、人生はそこで全てが決まるわけではありません。人によって、高校での出会いや就職してからの出会いや決断の仕方によって、人生のあり方が違ってくることもあるでしょう。しかし、高校入試というのは、やはり人生の大きな分岐点であることは間違いのないことです。

 

◆中学生をお持ちのどこのご家庭でも、きっと進路について真剣に考え、悩み、時には意見の相違から我が子とぶつかり合うこともあるのだと思います。しかし、その中にこそ、人生の大きな学びがあります。中学生のとき、将来のことを考えているようであまり具体的には考えていなかった私。しかし、どこの高校を選択するのかで、初めて父親や母親の私への愛情や期待を知ったことで、自分の進路を真剣に考えるようになりました。

 

◆義務教育9ヶ年にとって、高校入試は最大の試練の時です。高校入試が終わり、卒業式を迎え、それぞれの生徒が長く付き合ってきた友人と別れ、新しい出会いに向けて旅立つ時は、もう間近に迫ってきました。素晴らしい別れは素晴らしい出会いを生みます。この3月が充実したときでありますように。

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