【教頭通信】仕事の手順を見直す②

【解説】令和元年9月10日記

世の中、働き方改革。働き方を変えていくことに異論はない。しかし、こと教育のことに関すると、ただ「働く時間」を減らしていいのだろうかと思う。子供のために働きたいと思う教員は、働いたらダメなのだろうか。現状の働き方でも、変えるべきことはいくつもある。無駄・無理が多すぎる。教員の世界では、仕事の手順を教わることはほぼ皆無である。まずは、仕事の手順をしっかりと教えることが先なのではないか。以下の通信には異論もあると思う。私がこの当時一番言いたかったことは、「一人一人が責任を持って仕事を行えば時間は短縮できる」ということである。その背景には、一般教員の業務と思われるものまで、ほとんど教頭がしていたというのがある。ありとあらゆることが教頭の肩にかかっていた。教頭のなり手はほとんどいなくなっていた。それは現在でも続いている。

※初出 平成13年 教頭通信

■以前いた学校でのことです。

私は、教務をしていました。

ある学年で見学旅行がありました。

年輩の先生が、教務である私のところに見学先に送る依頼文書を持ってきました。

「これ、依頼先に送る文書です。職印を押して送付お願いします」

「中身はチェックしますけど、送付するのは先生のほうでお願いします」

と私は言いました。

「そんなのは私の仕事ではありません。教務のほうでしてください」

と相手の先生は、怒ったように言ってきました。

私は言いたいことがあったのですが、反論するのを止めました。

人間関係が壊れるのを恐れたからです。

私は、文書を点検し、見学先の住所を探し、封筒に宛先を書き、文書を教頭に見せ、職員を押してもらい、控えのためにコピーし、封筒に入れ封をしました。コピーは私にお願いしてきた年輩の先生の机に届けました。

そして、その文書の入った封筒を事務の方に発送してくれように頼みました。

ここで、私はいくつもの仕事をしたことになります。

私にもしたい仕事があったのですがそれを後回しにし、その頼まれた仕事をまず先にすることにしました。

時間をとられたことはもちろんですが、それより精神的に疲れました。

 

■責任ある仕事振りとは一体いかなることでしょうか。

先ほどとは違うある学年の先生は、私のところに見学先の依頼文書を持ってきました。

「このような文書を発送します。点検をお願いします」

私が点検し「これでいいです」

「ありがとうございます」

と言って、後は全て自分の手で行いました。

私がしたことは、この点検だけです。

ご自分の手で、住所を調べ、自筆で宛先を書き、事務から切手をもらい発送だけは事務にお願いをしていました。

そして、清書した文書のコピーだけを私にくれました。

どちらの方が、職業人として当たり前の行動でしょうか。

 

■ある仕事を担当しやり遂げるということは、自分の責任で最後までやり通すということが基本です。

もちろん、大きな仕事になれば、集団で担当し役割分担を決めます。

その担当したことを責任を持って最後までやり通すということ。

その「最後まで」というのはどこまでのことなのか。

それは「仕事を完結させ報告をする」ということです。

「報告」なきものは、仕事が終了したとは言いません。

学校という場であれば、管理職である教頭に報告して仕事は一応終了ということです。

 

■事務的、形式的な仕事をいかに効率よくやるのかということは、とっても大切なことです。

先に紹介した年輩の先生がしたことは、確かに御本人にとっては時間が短縮されることでしょう。

しかし、その代わりに教務をしていた私の時間は大幅に奪われたことになります。

御本人が行えば、わずか5分もかからず終了する仕事が、何も知らないで行う人間がすれば、その倍の時間はかかることになるでしょう。

 

■仕事の手順をどうすればよいのかということについて考えてみましょう。

例えば「校内のいじめ対策」の提案文書を作成することになったとします。

これは全く新しい提案です。ですから、ゼロからのスタートです。

この場合、係は様々な資料・情報を集めることが最優先されます。

それにも関わらず「教頭先生、これどうしたらいいでしょうか」といきなり訊ねられてもアドバイスしようがありません。

何かのアドバイスを得ようとする場合は、必ず自分なりの考えを持っておくことが必要です。

それが職業人としてのたしなみです。

「いろいろな資料・文献から、今回のいじめ対策の提案に付いては、このようにしようと考えますが、いかがでしょうか」

このように聞かれたら、答えようがあります。

「子どもの実態の捉え方が不足しているね。この面からの分析が必要です。それを入れて、提案文書を作成しなおしてください」

というようにです。

 

■さて、新しい提案は、最初から全てを完ぺきに出そうと考えてはいけません。

「校内いじめ対策」の例でいえば、ねらい・方針等という大枠だけでいいのです。

そして、大枠が共通理解されたなら、その具体化していくための進め方に関する提案を次にするのです。

教務の先生の「新教育課程」に関する提案がそうなっていましたね。ねらい・方針を定め、仕事の手順を全体の場で確認する。

そのようにすれば、会議は短時間で済み、なおかつ見通しが持てるのです。

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