【雑誌原稿】友だちとのトラブル 上手な親の対処 ~トラブルの対処方法を教えよう~
【解説】令和3年12月23日
いじめの認知件数が年々増加しています。(ただしコロナ禍による臨時休業のあった令和2年度は減少しました)
令和元年度で言えば60万件を超えるいじめ認知件数である。
それほど子供たちの心がすさんできているのか。
私はそんなことはない、と思っている。
いじめの中には、子供の誤解や勘違いが多くあるのではないかと思う。
そうであるならば、誤解や勘違いが生じないような言動や生じた時への対処法といったことを小さい時から教えていくことが必要なのである。
【初出】平成16年
友だちとのトラブルの対処で大切なことは、トラブルを回避することではありません。
トラブルがあって当たり前なのです。
トラブルが子どもの社会性を育てるのです。
トラブルをどのようにして乗り越えさせるのか、そこがポイントです。
対処方法を根気よく教えていくことです。
子どもが友だちとのトラブルで多いことの一つに約束を破ったというのがあります。
「約束違反」は子どもの世界にとって絶対許せないことの一つです。
娘が小さかった時、次のようなことがありました。
帰ってくると子どもは何やら不機嫌です。
しばらく様子をみていてもただ不機嫌なばかりで話してくれそうにありません。
そこで「どうしたの。何かあったの」と聞いてみました。
「Aさんなら、勝手なんだから。私と遊ぶと言っておきながら、私が行ったらBさんと遊んでいたんだよ。約束を破ったんだから」
たいてい約束違反によるトラブルは、子どもの独占欲からくるものです。
相手の事情を考慮せずともかく約束を破ったという事実を怒るのです。
そこで私は聞いてみます。
「へぇーそうなの。約束を守らないのはいけないけど、何かの勘違いじゃないの」
私は、学級担任時代、よく「勘違い」「誤解」という言葉を使って事情を聞くことがありました。
「喧嘩の原因は、お互いに誤解があったんじゃないの」「ちょっと勘違いがあったんじゃないの」と言って事情を聞きだすのです。
「勘違い」「誤解」という言葉を出すと、それまで怒っていた子どもの表情が変化します。
怒り顔があれっという顔に変わるのです。
そこで誤解しそうな点を聞いていきます。
例えば約束の仕方。子どもの約束は大雑把です。
自分が約束したと思っていても相手は約束したとは思っていない、そんなこともよくあるものです。
相手が約束を破ってしまった事情を推測して「もしかしたら、こうだったんじゃないの」と話して聞かせることも、私にはあります。
逆に子ども自身が約束を破ってしまうときには、相手に対して「約束を守れなくてごめんね」という謝りの電話などをかけることもなく、事情を説明することもありません。
家族で買い物に出かけることがあります。
そんなときに友だちから電話がかかってきます。
一緒に遊ぼうという誘いの電話です。
娘は、「今日は遊べない」と一言言って電話を切ることがありました。
「そんな言い方は駄目だよ。誘ってくれてありがとうと言って、何故、遊べないのかちゃんと説明しなさい」
しかし、一回言って簡単には直りません。
何度か同じようなことがありました。
その都度、きちんと事情を説明することが大切だということを話して聞かせました。
今から思えば、娘にとって、小さい頃は、事情を説明する必要性はわかっていなかったのかもしれませんし、説明するだけの言葉の能力もなかったのかもしれません。
しかし、何度もそんなことを繰り返しながら、友だちとの付き合い方を学んでいくのだと私は考えています。
親の躾の問題もあるということなのですね。
躾がちゃんとされている子どもはトラブルが少ない。躾次第で予防できるレベルのトラブルがあるということか。学校の先生は保護者に向かって、「ちゃんと躾しましょうね」なんて言えませんね。自分事として話すしかありません。
この世の中に起きること全てが「自分事」
自分とは関係ないと思っても、巡り巡って自分に関わってくる。
伊勢さんがお書きになっていることはとても大切なことです。
そのためにも簡単に人の責任にしてはならないのだと思います。
まず自分自身。
ここからがスタートです。