【教頭通信】総合「福祉で働く人たち」・その2
【解説】平成31年1月2日記
「自由に考えてよい」というのは、ある程度知識や知恵のある人には有効です。しかし、様々な子供たちがいる教室では、ある程度情報を与え、できるだけ同じ土俵の上にあげておく必要があります。その上で「・・・について考えてみよう」というようになります。そして、同じ情報を教師が与えたと思っていても、その情報から想起することは子供によって様々です。それら様々に想起した考えや思いを整理・分類し、問題を焦点化させていきます。この考え方が、単元導入時における私の基本ともいうべきものでした。
※初出 平成17年 教頭通信
◆授業を考えていくとき、思考は、整然と、しかも直線的になるわけではありません。教材の面から授業を構想していたかと思うと、指導方法の面からになったり、子どもの実態の面になってみたり、目標の面から考えることになってみたりと、その時々であっちへ行ったり、こっちへ行ったりします。こんがらがっている状態を一つの秩序ある状態に並べ替えていくことが、授業を構想する上では大切になります。
◆総合において目指すべきことは、「問題解決的な学習」です。その場合大切なことは「問題」は何であっても良いということではありません。考えるに値する問題を子ども自身が追究し、解決していくということです。それでは、「考えるに値する問題」を子ども自身が、どのように見つけるのかということがポイントになります。
◆いきなり子どもたちに「調べたいことを決めなさい」と言って、課題を作らせたとしても、それはほとんどいい加減な感じのものになってしまいます。考えるに値する問題意識を持たせるためには、ある種の情報が子どもの中になければなりません。新任の教師に「わからないことがあったら、遠慮せず聞いてください」と言っても、なかなか質問してきません。何を質問していいのかわからないということがよくあることです。質問する、もしくは問いを発するためには、ある種の情報が蓄えられていることが必要です。ですから、総合「福祉で働く人たち」の場合、まずすべきことはある種の情報を子どもたちに与えることです。
◆大きく分けると、16時間を次のように考えています。
1 福祉に関わる「情報」を与える |
子どもの興味・関心を高めつつ、基本的な情報を教師が教えます。この場面では、当然、子どもの実態に差がつきます。混乱している子もいれば、大人以上に様々な知識を持っている子も出てきます。理解が不十分な子がいても、この段階では「よし」とします。大切なことは、いかに子どもたちの興味関心を引き出し、次に繋げていけるのかということです。
2 子どもなりに福祉に関わる問題を把握できる。 |
「問い」を子どもたちに発信させることで、子ども達の問題意識の不十分な点や今後必要とされる福祉に関わる基本的な知識などを明確にしていきます。
3 さまざまな福祉に関わる問題を追究する。 |
ここでは、「広く」「浅く」、福祉に関わる問題を追究させます。
4 追究結果を交流することで、福祉の問題を理解する。 |
一人ひとりの中にある福祉に関わる混乱した、もしくは無秩序な知識を整理し、全員をある程度同じ土俵の上に上げていくことを目標とします。
5 自分なりに深めたい問題を把握し、追究する。 |
6 自分なりに問題解決をし、発表する。 |
◆ここまで、先週の25日金曜日に書いていました。しかし、週が明けて月曜日になったら、タイトルを変えることにしました。
総合「健康で長生きできる街づくり」 |
6年生担任の先生方、申し訳ありません。突然になって変更です。金曜日から、色々考えて変更することにしました。パワーポイントでサイトを作成していたら、どうしても変更せざるをえなくなりました。「ほんと、いいかげんですいません」といった感じです。
◆ところで、単元全体の計画はきちんと決まっていません。明日、子どもたちがどのような反応を示すかで、計画を考えていきたいと思っています。しかしながら、それなりに考えていることはあります。それはできれば「提案型の授業」にしたいということです。「提案型の授業」とは、子どもたち自身が考えた計画や案を大人の人たちに聞いてもらい、その計画や案を少しでも取り入れてもらうということです。ただ発表するだけではなく、何らかの形で採用してもらう。ただそれを実現するためには、教師側にもそれなりの覚悟が必要なので、授業の進展具合で考えていきたいと思っています。
<次号へ続く>