【学校便り】「顔色が悪い」と「顔が変」

【解説】令和5年4月23日記

人間の成長の過程の中で、思春期という時期はある意味特別な時代かもしれません。

親に反抗したり、友達関係や自分の容姿といった様々なことで悩んだり、傷ついたりします。

「思春期なんてなければいいのに」

なんて思ってしまうこともあるかもしれません。

しかしその思春期という時代は、人間の成長の上でなくてはならないものなのでしょう。

思春期があることによって、人は成長の階段を上ることができます。

※初出 平成29年12月22日

◆お正月。実家に親戚一同が集まる。新年のごあいさつ。おばさんたちの手作りのおいしい料理・豪華な料理がテーブルに並ぶ。じいちゃんが上座にいて、おじさん方とお酒を飲んでいい調子になっている。私は、たくさんいるいとこたちとゲームを楽しむ。そしてお年玉をもらう。

 

◆小さい頃から、毎年楽しみにしていた親戚の集まりでした。しかし、中学生頃になると私はそうした集まりに行くことが億劫になりました。嫌だったわけではありません。楽しみな気持ちはあるのに違う理由を優先していたのです。母親から「信司、実家に行くよ」と言われても「友達と約束しているから」と言って拒否。それも強い調子で反抗的に拒否。友達と会うことは嘘ではありません。嘘ではないのですが、何故か友達と会うことを優先していました。小学校までの自分には考えられないことでした。

 

◆当時の私は思春期に入っていたのだと思います。家族より友達。友達と会い話をすること。私にとって、それがとても大切なことでした。思春期。「家族より友達を優先」という特徴だけでなく、それ以外にも身体的にも精神的にも様々な変化を遂げていく時期です。そのために様々なトラブルがあり、本人しかわからない悩みや苦しみがあります。誰もが通る道です。

 

◆ある本に次のエピソードが紹介されていました。ある男の子。風邪にかかります。学校を休んだ方がいいのですが何とか学校に行きます。学校に行くと、クラスメートで仲良しの女の子から「顔色が悪いね」と言われます。そして、学校から帰るとその男の子は母親に「女の子から悪口を言われた」と落ち込んだ表情で言います。母親も心配になって「どんな悪口言われたの?」と問い返すと「顔が悪い。顔が変だと言われた」と訴えてくるのです。母親は息子が悪口を言ったという女の子のことをよく知っていますが、そんなことを言う女の子ではありません。そこで再び「なんて言われたの?女の子が言ったことを思い出してごらん」男の子は必死になって思い出します。「顔色が悪いと言われた」母親はそれを聞いてびっくりです。顔色が悪いには「顔が変だ」とか「顔がおかしい」といった意味はないからです。反対に、女の子が男の子のことを気遣ってくれた思いやりのある言葉だからです。そこで、母親は「顔色が悪い」には「顔がおかしい」「顔が変だ」という意味がないことを説明します。そのことによって大きな問題ともならず男の子の悩みは解決することになります。

 

◆笑い話のような話です。しかし、思春期にはこうした間違いがよくある話だということが書いてあります。思春期は、自分の姿かたち、特に自分の顔にある種の劣等感を持つことがあります。他人からの何気ない一言が、予想以上に本人の心に突き刺さるということがあるものです。思春期は自己意識が高まる時代だからです。自分の姿かたちや顔への劣等感的なことは、思春期だからこその悩みだということになるかもしれません。そして、それに語彙力の不足、言葉の裏の意味を察することが足りないことが重なると、なおのこと他人と様々なトラブルが生じやすいのです。思春期の中学生、何時間も鏡を見て髪形を整えたり、友達と何時間も話し込んでいたり、そして異性への恋心によって人間関係で誤解が生じたりすることが多々あります。私たち大人が考えている以上に中学生は急激に変化していっています。

 

◆2017年、もうすぐ終わりです。生徒一人一人には、今年一年きっと様々なことがあったことでしょう。それは、大人への階段を一歩一歩上っているからこそのことと思います。いいことも悪いことも人生の肥やしです。来年は、今年以上に素晴らしい年になることを心より祈っています。

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