【校長通信】全校朝会 校長講話 ~いじめを許さない学校~
【解説】令和6年7月23日記
どこの学校でもいじめ的なことは起きる。
その時にどのように対応するのか。
いじめ発生時における緊急処置的な対応は当然必要であるが、日常的な予防的対応も必要である。
日常的対応で必要なのは、一担任だけのことにせず、学校全体としていじめに対してどのように考え、どのように対応していくのかということである。
それが「いじめを許さない学校風土」を創り上げていくことになる。
これがいじめに対する抑止力となる。
校長は、いじめに対してどのように考えているのかを、全職員に伝えることはもちろんだが、時には子供たちに対しても伝えておくことは意味のあることだと考えてきた。
その際、具体例を交えて話すこともあり得るが、今回紹介する通信では全校朝会で1年生から6年生までを対象にして話をしている。
※初出 平成10年10月26日
◆全校朝会の校長講話でどんなことを話すか、いつも悩む。色々と試しているのだが、まだ定まった形はない。今回は、授業形式にしようと思った。授業で大切なことは次のことだと考えている。
大事なことは教えない |
教師が、大事なこと・教えたいことをくどくどと説明するのではなく、子どもが気が付いたり、考えたり、そして子ども自身がその大事な事を自分の口で言えるようにすることが授業のポイントだ。
◆昨日のニュースでいじめで6年生の女の子が自殺したことを知った。学校では、時折モノが隠されたり、いじめ的なことがあることを聞いていた。特別な支援を要する子たちにとっては、いじめを受けるとその場では何事もないようにふるまうが、数年してフラッシュバックを起こし2次障害的になるということも学んでいた。ある担任の先生の教育目標を達成するための具体策の中に、全校朝会でいじめのことについて話すということも書いてあった。後半の教育活動・学級経営を考えたときに、校長がいじめは嫌いだ、ということを子どもたちに伝えておくことは、一種の布石になる、いじめを未然に防ぐことにつながると考えた。そこで、今日の全校朝会で話すことにした。
◆昨日の夜どんなふうに話すか考えた。「いじめは嫌いだ」と語ることは簡単だ。しかし、子ども達には伝わりにくい。特に低学年には難しいと思った。そこで、授業形式にすることにした。「大事なことは教えない」ということを頭において、話の流れを組み立ててみる。どうしても、エピソードを語りたい。しかし、そんな時間はない。私の話を補完してもらうのは、先生方にお任せすることにした。私は、本筋だけを話せばよい。そんな風に割り切ることにした。今回のねらいは、次のことだ。
私たちの学校は、いじめは許さない学校だ。 |
このことを伝えるために、校長が何に怒るのか、を明確にすること。そこを話の芯に据えた。まず、子ども達の前に立って、いきなり問う。
◆「校長先生はこわい、と思う人?」誰も手を挙げない。しかし、一人だけ手を挙げた。一人の担任の先生だ。これは愛嬌。そのことで明るい雰囲気になった。いじめの話をすると暗い話になりがちだが、今回は実際にいじめが起きて重大事件になっているわけではない。だから、明るい感じでよい。また、そうしなければならない。
◆次に「校長先生はやさしいと思う人?」3分の2の子が手を挙げた。ある程度、予想した通りだった。そこで、全く逆のことを言う。「そんなやさしい校長先生も、すごく怒ることがあります。許せないということがあります。どんなことで校長先生は、ものすごく怒ると思いますか」もう少し長く話したが、概略そんなことを話した。
◆子ども達に発表させる。一人ひとりを追いこむ場面であれば、列指名で強制的に話をさせるのだが、今回はそんな時ではない。だから、自由発表。「いじめ」とすぐに出るのかなと思ったが、一発では出なかった。「校長先生は、いじめにきびしい」ということを押さえて、いじめの具体例を発表させた。多くの子たちが発表してくれた。発表できる子たちが多い。
◆発表終了後、「校長先生と同じで、いじめの嫌い子」と聞く。ほとんど全員が手を挙げる。手を挙げていない子がいたので全員に対して「周りを見てごらんなさい」と指示。その指示で全員の手が挙がった。最後に「楽しい、いじめの無い学校を作っていきましょう」で終了。