【学校便り】成長をしっかりと見守りたい「男子三日会わざれば刮目して待つべし」

【解説】令和5年1月6日記

「座右の銘」

それは生きていく上での指針となるものです。

この学校便りで、私の座右の銘を紹介しています。

そして、それと結びつけて中学生期の成長のことについて触れています。

この学校便りを読む保護者の皆さんに中学生期にある我が子の成長について温かく見守ってほしいという思いを込めて書いたものです。

※初出 平成28年4月6日

◆私の座右の銘は「男子三日会わざれば刮目して待つべし」(だんし みっかあわざれば かつもくして まつべし)です。今から36年前、私は大学を卒業しました。学位授与式、いわゆる大学の卒業式に私は欠席しました。体調が悪かったことと、北海道教育委員会からの教員採用に関わる連絡を待つために自宅に待機するためでした。私の代わりに母親が学位授与式に出席しました。その折に、母親は大学時代の恩師である安香(あこう)宏先生から一枚の色紙を手渡されました。その色紙には欠席した私に対しての贈る言葉が書かれてありました。その言葉が「男子三日会わざれば刮目して待つべし」というものでした。正しくは「男子三日会わざれば刮目して見よ」というのかもしれません。しかし私は恩師から贈られた「男子三日会わざれば刮目して待つべし」という言葉を大切にし、その後常に心に留めながら教師人生を歩んできました。

 

◆さて、この「男子三日会わざれば刮目して待つべし」というのはどういう意味でしょうか。この言葉を色紙で見たとき、どんな意味なのかわかりませんでした。当時は、ネットで簡単に調べられませんでしたから辞典や何冊かの書籍で調べてみました。

 

◆この言葉は、三国志に出てくる言葉です。無鉄砲と思えるほどの勇敢さを誇る武将がいました。その勇敢さは中国全土に響き渡るほどのものでした。しかし、その武将の君主は「これではいけない」と考え、「学問にもしっかり励み、人間の幅を広げよ」と諭すのです。それから時が流れます。その「勇」を誇っていた武将のもとに、昔の知人が尋ねます。そして、さまざまな話をします。すると、「勇」を誇っていた武将は、ある一人の有名な将軍の性格を的確に分析し、そこからどのような戦略・戦術が必要なのかを淡々と解説してみせました。知人は、その分析の的確さと戦略・戦術の見事さに感銘を受けます。そして言います。「もう昔の勇猛果敢さだけを取り柄にし、駈けずり回っていた君ではない。勇猛さと共に知性を兼ね備えた素晴らしい武将となった」と感嘆するのです。そして人間的にも成長した武将は言うのです。「もう私は、昔の私ではありません。男というのは、三日も会わないでいると驚くほど成長しているものです。どうか、目を見開いて私の人間として成長したところを見てください」

 

◆恩師である安香宏先生が、何を私に期待していたのか。大学時代、私は人間的にもあらゆる意味で未熟でした。しかし、そのことに思いを馳せることもなく、傲慢不遜なところがありました。その私に「男子三日会わざれば刮目して待つべし」という言葉を贈ってくれました。それは再び会うときに、大学時代の未熟な人間ではなく、社会に出てからもあらゆることから学び続け、人間の幅を広げ、より成長した「男」となって再会しようということだったのではないかと思うのです。

 

◆中学時代は、人生にとって一番身体的にも精神的にも成長する時代です。しかも、心の体の発達のバランスが崩れ、あらゆる心の葛藤を経験する時代でもあります。それまで素直で親の言うことをしっかり聞いてくれていた子が、突然親に反抗しだし、時には「くそばばあ」「うざい」なんていう暴言を吐くことさえあります。しかし、それは、間違いなく大人への階段を上り始めた証拠でもあります。新年度が始まりました。中央中生徒一人ひとりの成長を目を見開いてしっかりと見守っていきたいと思います。今年度もどうぞよろしくお願いします。

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