【月別経営の重点】11月。3つの不登校対策

 【解説】令和4年6月10日記

不登校の児童生徒数は、毎年増え続けている。

このままでいいはずがない。

どうすれば、不登校を食い止められるのか。

学校教育の制度を変えてしまうか、それとも(教師も含めて)学校の体質を変えるかしかないと私は考えてきた。

学校の制度を変えることは、私には無理だ。

できるとしたら、自分が勤務している学校の体質を少しでも変えることしかない。

問題は、どのように変えるかだ。

校長時代、次のようなことを国立教育政策研究所の研究結果から職員に伝えてきたこともある。

※初出 平成29年11月14日

前回、「能動性の涵養」について3つの原則を書いてみた。

3つの原則とは次のものであった。

今年度の重点「能動性の涵養」について

原則1 為すことによって学ぶ

原則2 外とつながる

原則3 失敗を認め、生徒を励ます

また、ここ数年は「教育の大改革」にあたるということで次のことを最後に記した。

生徒の学習権を保証し、生徒の成長を促していく。そのことを愚直にやりながら、働き方改革をするというのは、実に困難が伴う作業となるだろう。しかし、新教育課程が待ったなしでやってくる状況では、働き方改革をやらなければ、今より大変な状況になることは目に見えているのである。次年度に向けての課題である。

少しでも働き方改革を意識し、各学年・各分掌や職員室での話題にしてもらえたらなと思っている。

 

1 部活動の各種大会から見える生徒たちの良さ

卓球やバレーボールの大会を見て、真っ先に思ったことは、実際にプレーをしている選手たちを応援している生徒たちの素晴らしさである。

ワンプレー、ワンプレーごとに声を出し応援している。

タイムやセット間では、アドバイスや励ましの言葉を盛んに言っている。

生徒と生徒の絆がつくられていっている。

このような好ましい人への接し方は、やはり部活動や何らかの行事の中で生まれてきやすいものだ。

この陰には、部活動指導者の日常における陰ながらの指導があるのだろうと推測される。

 

2 不登校対策で効果がある3つの取組

不登校対策において、効果のあった学校18校を調べた調査がある。

その結果が国立教育政策研究所から発表された(※ホームページ上からもダウンロードできます)。

それによると、3つのポイントがある。

1つ目は「新たな不登校を生み出さないということ」

2つ目は「絆づくりと居場所づくりに取り組むということ」

3つ目は「年間3回の意識調査を行い、対策を立てるということ」

 

3 不登校は未然防止が最大の対策

新たな不登校を生み出さないということは、不登校の未然防止が大切だということだ。

そのためには「楽しい学校」「楽しい学級」であることが不可欠である。

「楽しい」というのは、人によって受け取り方が違い、誤解を生みやすい言葉なのだが、ともかく生徒自身が「学校、学級にはいろいろと大変なことがあるけど、学校に行くのはやはり楽しいな」と思えることが必要なのである。

このことは、他から見て判断できることではない。

表面上は楽しくないように見えても、生徒自身は「楽しい」と思っていることもある。

反対にその逆もある。楽しそうに見えるけど本人は楽しくないと感じていることもあるのである。

ともかく、生徒の意識を把握し、適切に対応していくことが肝要である。

 

4 「居場所づくり」は教師の役目

生徒の「居場所づくり」は教師の役目である。

教室の中に、自分の席があることはもちろんのこと、学級は組織体としてきちんとした役割を与え、それを遂行させ、認めること。

そのことは、授業の中でも同じである。

一時間いっぱい、ただ席に座っているだけというのでは「授業の中に居場所はない」のと同じである。

一時間の中で、全員のノートを必ずチェックし声をかけたり、全員に発言させたりすることで生徒の授業の中での存在を認める。

その上で、一人残らず全員を授業に巻き込んでいく手法を教師がいくつも、いくつも持っておくことである。

また、教室の中に人をあざけり、馬鹿にする雰囲気のところでは、居場所がなくなっていく。

いじって大丈夫なのは、ある意味、心も体も「健康」な時である。不健康な時、心も体も疲れているとき、人からいじられると腹が立つことがある。

それが自然なのである。

そっとしておいてほしい時は大人でもあるのだから、子供ならなおのことである。

ともかく、人をあざけり、馬鹿にする雰囲気を排除できるのは直接的に生徒に指導するか、それとも学級集団の自治力に依拠しながら間接的に指導するかは別にしても、やはり教師の責任である。

 

5 「絆づくり」は生徒が主体 教師は仕掛けづくり

「居場所づくり」が教師の役目だとしたら、「絆づくり」は生徒自身がすべきことである。

しかし、生徒に任せきりというのではなく、教師が「場」や「時」などの仕組み・仕掛けを作ってあげることは必要である。

例えば、宿泊学習のキャンプ。キャンプの中で友達同士で絆を作っていくのは、子ども自身である。

しかし、そのキャンプの中で行われる一つ一つのイベントが絆を作りやすいものになっているのか、どのようなグループを作るのか、そうしたことに配慮しなければ、絆はできにくいものとなったり、コミュニケーション力の不足の生徒はいつまでたっても、コミュニケーション力が弱いままである。

前述した卓球部やバレー部の応援する動きはまさしく「絆づくり」の結果である。(他の部活動も、同じような光景は見れる。本校部活動の良さである)

国立教育政策研究所の報告書には次のように書かれてある。

※略

6 最後に

当然「居場所づくり」や「絆づくり」に、絶対この手法でなければならないといったものはない。

手法や方法は様々あってよい。

理念・考え方として、実践の時に頭の片隅に置いてほしいと思う。

ところで、先日管内教頭研究大会(私は助言者として参加)があったのだが、その席上で話題になったことが頭に残った。

それは「今の時代、生徒を怒鳴って、何一ついいことはない」という言葉である。

これを発言したのは、生徒指導に長けた「武闘派」と呼ばれていた某教頭先生だっただけにびっくりした。

怒鳴っていいのは、子供の生命に緊急性があった時だけと心してほしい。

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