【校長通信】研究仮説をどのように立てたらよいか 

【解説】令和5年5月22日記

多くの学校では、教職員全体で研修活動・研究活動に取り組んでいます。

学校全体で一つのテーマを決めて、全教職員で取り組むのが普通となっています。

この方法には、メリットもありますがデメリットもあります。

その最大のデメリットが、一人一人の教職員の抱える課題から離れ、やらされ感の強いものになりがちだということです。

一人一人が問題意識をもって取り組んでもらうために、一人一人に任せるというということもあります。

今回紹介するのは、校内研修を一人一人の取り組みを任せた時のものです。

※初出 平成22年6月18日

◆今年度の研修では、各教師が子ども達の読み取りの力を高めるために、研究仮説を立てて取り組むことになっています。各教師に任されたということは、子どもの実態、教室の実態にそって研究に取り組むことができるということでは、大いに各教師の創造性が発揮できるという良い面もありますが、反面どうしていいのかわからないということも生じるものです。

 

◆研究仮説をどのように立てたらよいのか、ちょっと考えてみましょう。まず、あらゆる物事には必ず「原因」と「結果」があります。例えば、全校朝会で私が話している場面で考えてみます。私がステージの上に立ちます。子ども達に向けて話をします。当然のように私の話を聞いている子もいれば、聞いていない子もいます。この「聞いている子、聞いていない子が存在する」というのが、「結果」です。私は目標として、全員の子に聞いてほしいと願っています。しかし、現象面として現れる結果は、「聞いていない子が存在する」ということです。そこで、私は考えます。「なぜ、私の話を聞いてくれない子が存在するのか」つまり「原因」を探ることになります。私は、私の今までの経験から、「私の話の内容がつまらないのではないか」とか「私の話し方に問題があるのではないか」とか「子ども達の聞く態度が形成されていないのではないか」とか「子ども達は、嫌なことがあり、聞く気にならなかったのではないか」とか「子どもの発達段階が違いすぎるからではないか」とか、さまざまな原因を考えることになります。

 

◆そこで私は、当然のように「原因」を改善するためにはどうしたらいいのかを考えることになります。しかしながら、前述したように、「原因」はさまざま考えられます。「原因」と思われる全てのことを改善すれば、きっと「結果」はよくなります。しかし、全ての「原因」と思われることに対応することは、不可能ですし、生産的ではありません。なぜなら、どの対応策がどの「原因」に対して有効に働いたのかが、わからないからです。

 

◆ともかく私は「原因」を絞り込む。もしくは「原因」を特定するという作業をすることになります。先生方に聞いたり、子ども達に聞いたり、本を読んだりしながら、もしくは自分の話をテープにとっておいて、「原因」を絞り込んでいくわけです。その結果、「私の話す内容」と「話し方」に問題があったのではないかと推測できたとします。そこで「内容」と「話し方」を改善するための策を考えます。その改善策こそが「仮説」なのです。次のようになります。「具体的な話、とりわけ描写のある話をすれば、子ども達は真剣に話を聞くことができるだろう」「話の緩急や強弱、大小を話の場面に応じて工夫すれば、子ども達は身を乗り出して聞くことができるだろう」

 

◆「改善策」すなわち「仮説」が立ったら実際にやってみることになります。その「改善策」「仮説」が有効であったかを検証してみるのです。「描写のある話」「話し方の工夫」もした。その結果、以前より子どもたちは聞いてくれるようになった。もしくは、全然効果がなかった。というように「改善策」「仮説」の有効性を検証するのです。

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