【原稿】「小さな変革」を大事にしよう

【解説】令和元年7月3日記

「学校の教育目標」と「学校教育の目標」は指し示している内容は違う。ちなみに「学校教育目標」という言葉はない。学校の教育活動の設計図である教育課程は、各学校の責任の下で創られるものである。各学校には主体性が求められる。主体性とは、自分の頭で考え、判断し、実行し、結果には責任をとるというスタンスである。「特色ある学校づくり」といったときでも、子供の実態から教育活動を主体的に設計し実践していくことである。結果として、他の学校の実践していることと似たとしても、主体性を持って計画し、実践したものなら私は「特色ある学校」と呼ぶべきだと考えている。

※初出 平成10年

1.「東京発中標津着教育文化」

これからは、特色ある学校づくりが求められる。

しかし、理念はわかるが具体的にどのような学校を作り上げていったらよいのか、なかなか判然としないというのが現場の正直なところだろう。

例えば、一見すると特に特徴のないところ、都市部の学校などはその最たるものだろう。新興住宅街や転勤族の多いところ、特に際立った自然もないところなどは苦労するに違いない。

私の学校で、先日「総合的な学習の時間」の研究会を行った。今年は環境教育一つにしぼりこんで取り組んでみた。

午前は公開授業と研究協議、午後は講演を行った。講演の講師は、滋賀大学教授清水毅四郎氏。

その清水氏が講演の冒頭で公開授業を参観しての感想として、「東京発中標津着の授業のようだった」と批判された。

なかなか面白い喩えだと一瞬思ったが、考えてみると具体的にどうしたらよいのかわからなかった。

公開授業の中身は、高学年が現在の地球ばかりでなく地域の環境問題について調べ、それをどのように解決していったらよいのか考えあう、中学年が校地内の樹木を調べ今後それをどのように守り育てていくのか考えあうといったものであった。

だから、それなりに地域の特性に応じたものであったのだが、「東京発中標津着の授業のようだった」と批判される。それではどうしたらよいのか、そんなことを清水氏に聞いてみたいと思った。

 

2.「読書活動」への取り組み

私の学校もそんなに特徴のある学校とは言えない。

昨年度から、午前中の休み時間を30分にした。

今年度はその30分の時間を活用して何かできないものかと考えて、その結果「地域の親による読み聞かせ会」を実施することにした。

子供が参加するのは自由。読み聞かせを聞きたい子が参加する。火曜日と木曜日の週に2回。場所は、空き教室を「キッズライブラリー」として絵本類を置く。

4月から続けてる。参加する子供の人数は、毎回10名前後はいる。

特に低学年の子供たちに人気である。

前期、私は「読書クラブ」の担当になった。普通であれば、学校の図書室で読書させるのだろうが、それでは面白くないと思って、地域にある図書館に毎回連れていくことにした。

幸い、所属した子が3名ということもあり、私の自家用車で連れていき、帰りは現地解散ということにした。

現在の図書館は、ビデオも見られたり、静かな音楽もながれていたり、司書の方々も本に関することであれば親切に教えてくれたりする。

これも大好評であった。

学芸会の終わった11月の1か月間だけ、全校で「朝の10分間読書」に取り組んだ。朝、全校が静かな雰囲気の中でスタートする。

ただし1年生は、読書はまだ無理な子はいるだろうということで、6年生が1年生に読み聞かせをすることにした。

わずか1か月間のことであったが、先生方から継続を望む声が寄せられた。 しかし、長期間になるとマンネリを生むだろうと考え、今年度は終了させることにした。

 

3.「小さな変革」こそポイント

今年度の読書に関する取り組みは、どれも教師からも子供からも大好評であった。

しかし、考えてみるとこのような取り組みというのは、どこでも取り組まれているような内容ばかりである。「東京発中標津着」の取り組みかもしれない。

しかし、そうしたことをあまり気にすることではないのではないか、と私は思う。大きな変革、無理に学校の特色を打ち出そうとする実践、そうしたことも時には必要かもしれないが、「小さな変革」こそ忘れてはならない大事なポイントだと私は考えている。

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