【学校便り】生徒を理解することから

【解説】令和4年9月4日記

子供をきめつけること。それも偏った一面からの見方で「この子は、こんな子なのだ」「あの子の性格から、こんな問題行動を起こしたのだ」などといった偏見をもとにした教育を決してしてはいけません。

子供は多様性があり、柔軟性があります。一時の見方だけで子供の教育に当たれば失敗します。例えば、一つの問題行動。その原因を探るとき、必ず多面的な方向から考えていく必要があります。

そのことについてこの学校便りでは書いています。

※初出 平成27年4月28日学校便り巻頭言

気持ちよい挨拶

朝午前7時55分頃から、わずか10分間程度ですが、生徒玄関ホールに立って、登校してくる生徒たちに挨拶をしています。元気よく挨拶できる生徒、立ち止まって一礼して挨拶する生徒、笑顔でする生徒、小さな声で挨拶する生徒、目を合わせずする生徒など、一人ひとりの挨拶の仕方は様々です。毎日挨拶していると、その日の生徒の状態がほんの少しですが見えてくる気がします。どのような挨拶であれ、挨拶を交わすことができるというのは、とてもうれしいものです。それにしても、挨拶を気持ちよくできる生徒たちが多いということ、感心しています。

 

生徒の状況を靴箱から推測する

午前8時5分から、職員打ち合わせでいったん職員室に戻ります。職員打ち合わせが終わると、再び生徒玄関に行きます。生徒たちの靴が入っている靴箱を見るためです。「全員出席しているだろうか」「誰かお休みはいないだろうか」といったことを確認します。「○○さんは、今日もお休みだけど、どうしたのだろうか」また、靴箱に入っている靴の状態を見ながら、その生徒の「気持ちの状態」を推測するようにしています。靴が乱れて入っていると、落ち着いた生活を送ることができているのだろうか、などと考えたりします。私の教師としての習慣のひとつ、「靴箱の状態を見て、その生徒の状況を推測する」というのは、先輩の先生方から教わってきたことの一つです。

 

生徒理解が教育の出発点

教育の出発点は、生徒を理解することです。学習指導でも、生徒指導でも、部活指導であっても、あらゆる教育に関することは生徒理解が出発点です。生徒理解という土台があってはじめて、教育は成立します。4月から5月にかけて、家庭訪問・三者面談、学力テスト・CRT検査・全国学力学習状況調査、各種アンケート等を実施しています。また、体の状態を調べる身体測定・内科検診・歯科検診等も実施しています。それらは一人ひとりの生徒の実態を多方面から把握することで、一人ひとりの生徒をより広く、より深く理解するためのものです。

 

「問題行動はその子の性格が原因」?

私が小学校教師だったころの話です。授業時間中、集中力に欠け、落ち着きのない子がいました。忘れ物もよくします。友達とも喧嘩することが多く、私も心配していました。家庭訪問がありました。私は、自分の指導の未熟さを詫びながら、正直にその子の学校での様子を話しました。お母さんも心配されていることを話してくださいました。話が進んでいく中で、私は、何気なく体で心配なことはないか聞きました。お母さんは「鼻の調子がよくないようなんですよね。いつも鼻ばっかりかんでいます」

その話を聞いて「もしや」と思いました。大学時代に「子供に現れる気になる言動は、子供の持っている性格だけに起因しているのではない。」ということを学んだことを私は思い出したのです。「母さん、是非耳鼻科に行って、お医者さんに診てもらってください」

その後、耳鼻科に行って鼻に病気があることがわかりました。定期的に治療することで、その子の「落ち着きのなさ」も劇的に改善しました。アドバイスをした私のほうでも、驚くほどでした。

 

理解し、配慮すれば劇的に変わる

何かできないことを、私たちはともすればその子の性格に原因を求めがちです。しかし、それだけではない。その子自身ではどうしようもできないところに原因があって、そこを治してあげたり、配慮してあげれば劇的に変わるということもあるものです。

この一年間、生徒一人ひとりの状況をしっかりと捉えながら、教育活動を進めていきたいと考えています。ご家庭で気になることがあれば、是非、担任や顧問等にお知らせくだされば幸いです。

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