【学校便り】「スケート文化は別海の誇り」

【解説】令和5年2月7日記

その地域には、その地域なりの文化というものがあります。

その文化にどう向き合っていくのかというのは、教師にとってはとても大切です。

自分がやったことはないからだとか、一般的ではないからといった理由で否定的な態度をとってしまうというのは、教師はしてはならないことです。

その地域の文化を大切にすることがその地域に住む人たちを大切にするということでもあります。

北海道では、季節のスポーツとしてスキーやスケートをやったりします。

道東では、多くの学校がスケートに取り組みます。

このスケート文化を支えるのは、スケートリンクを造り、維持作業していく地域の大人の方々です。

決して日の目を見ることはありませんが、氷点下20度にもなる中、水撒き等の作業に当たってくれます。

頭が下がります。

※初出 平成29年2月1日

 

◆全道中学生スケート大会学校別対抗で中央中が優勝!全道ナンバー1。新年早々、中央中にとって大変うれしいニュースです。14年ぶりの快挙となりました。また、2位には同じ町内の上春別中学校。これまたうれしいことです。冬の厳しい寒さの中で毎日のように練習に励んでの快挙。選手を支える保護者・関係者の方々の力も大きなものがあります。そしてここ別海町が長年築き上げてきた歴史の重さも今回の快挙につながっているのだと思います。

 

◆私が初めて教師になった別海中央小学校では、昔から冬になるとグランドにスケートリンクを造りました。当時のリンク造成の仕方は、秋口に木の板でコースを作り、雪が本格的に降り積もると子供たちとともに雪踏みをして固めます。そして三学期の始まる直前にPTAの親御さんとともに水まきです。当然、氷のリンクを造るわけですから厳しい寒さでなければなりません。水まきは夜から始まり早朝までしました。消防用のホースを三人以上で持ちながら水まきです。リンク造りのことがよくわからなかった私にとって、たくさん水を撒いてさっさと完成させればいいのにと思ったものです。

 

◆しっかり氷になってからでないと次の水まきができないので、約2時間に一回程度です。厳しい寒さの中で水まきをして校舎内に入ると、ストーブの暖かさでほっとします。誰彼となく差し入れがありました。お菓子、おでん、焼き鳥、そして飲み物等。それらのものを飲食しながら同僚やPTAの方たちと談笑するのは、独身の私にとってはお正月が来たようで実に楽しいものでした。

 

◆リンクの維持作業もありました。放課後、担任している学級の子供たちと列になって竹ぼうきでリンクを掃きます。ホーキングです。その後、削れたリンクに氷を張るため水まき。私が若い頃はホースで水まきしていましたが何年かすると散水車が登場。お陰で労力は随分軽くなりました。

 

◆昔、学校にはスケートの得意な先生方がいました。運動がそれほど得意ではないベテランの先生が、リンクでスケートをする姿を見て私はびっくりしました。「かっこいい!」のです。特にコーナーをきる姿にほれぼれしました。「私も先輩の先生方のように滑ってみたい」そんなことを思い、放課後こっそりと練習をしたりもしました。何しろ体育の授業で子供たちに教えなければならないのですから、私も必死でした。

 

◆この別海にとってスピードスケートは文化といってもいいくらい価値あるものになっています。選手はもちろんのこと、選手を直接支える保護者や指導者の方々、そしてスケートを間接的に支える地域の多くの方々で成立しています。現在、中央中全学年においてスケートの授業があります。多くの生徒たちにとっては、卒業すると2度とリンクで滑ることはなくなるかもしれません。今の生徒たちの多くが、故郷別海を離れても、この地のスケート文化を忘れないでほしいなと思います。

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