【校長通信】学力と自尊感情は本当に関係があるのか
【解説】令和5年9月12日記
エビデンス的に言えば、学力と自尊感情の間には何らかの関係があります。
しかしそれは、因果関係ではありません。
自尊感情が高いと学力が高くなるとか、学力が高いから自尊感情が高くなるというようには断定できないということです。
それを裏付けるかのように、違う学校に行ったとき、自尊感情が低いグループの方が学力が高かったという予想とは逆の結果が出たことがありました。
ですから、当時考え、書いたことは修正しなければならないと考えています。
大切なことは、その学校におけるあらゆる要因を考えながら、エビデンス的にも効果的と思える方策をおこなっていくことだと痛感いたします。
※初出 平成22年7月12日
◆自尊感情の大切さを先日の全体懇談会で話をさせていただきました。特に、自尊感情は学力と関係があるのだということを指摘しました。点数アップはあくまで結果なのであって、自尊感情(自己肯定感、自尊心)を高めること・育てることが結果として、その子の可能性を引き出していくのだということを話したつもりです。そのおりに根拠として、「ある中学校」の「学力と自尊感情の関係」のグラフを提示しました。
(グラフ省略)
◆しかし、考えてみればそれは中学校の話であって、もしかしたら野付小学校では当てはまらないかもしれないなと思ってきました。そこで、過去3年間の全国学力学習状況調査の結果を探し出し、関係部分から「学力と自尊感情」の資料を作ってみました。それがこのグラフです。1年間だけだと、野付小学校は子どもの数がそれほど多くはありませんから、客観性・妥当性に疑念が残るなと考え、3年間を一つのグラフにしてみました。子どもの数で約50名の結果です。
◆さて、このグラフをご覧になってどう思ったでしょうか。「やはり校長先生の言っていたことは、ある程度妥当性があるのではないか」と思っていただけたのではないでしょうか。学力上位グループの85パーセントは、プラスに思っています。しかし、下位グループでは40パーセントの子どもしか、プラス面に評価していないのです。「自分にもいいところがあるんだ」「自分も頑張れば何とかなるんだ」といった自尊感情を育てることこそ、教育にとっての大切な要素なのだと考えます。