【学校便り】あらゆる場面が生徒にとって貴重です
【解説】令和4年12月16日記
一年間最後の学校便りです。
この最後の学校便りでは、感謝を伝えることがメインになります。
感謝の気持ちをどのように伝えたらいいのか、いつも頭を悩ませていました。
当然、学校は一年間の中で良いことばかりではありません。
大変なこともあります。
それらすべてが生徒たちにとって貴重な体験となるものです。
そうしたことも踏まえて感謝することを伝えています。
※初出 平成28年3月24日
◆先日、ある方とお話しする機会があったとき「一年はあっという間だ」としみじみおっしゃっていました。そして「年とると、ほんと時間がたつの早いわ」とも。中央中の1年間、振り返ってみると、あっという間に過ぎました。しかし、生徒一人ひとりにとってはどうでしょうか。私のような年寄りの時間感覚と中学生期にある生徒たちの時間感覚というのは違っているものです。ですから、私にとっては「あっという間」であっても、生徒たちにとっては長い1年だったかもしれません。
◆昔、『ゾウの時間ネズミの時間』という新書がベストセラーになったことがありました。私たちは、時間というのは、あらゆる生物にとって共通のものだと思っています。生物みんなに等しく与えられたものが「時間」だと思っているわけです。しかし、ゾウにはゾウの時間があり、ネズミにはネズミの時間というものがあるということを生物学の観点から書かれたのが、この『ゾウの時間ネズミの時間』という本です。
◆先日の卒業式、無事に終了しました。卒業生ばかりでなく在校生も含めて大変立派な態度で式に臨み、来賓の方々からもお褒めの言葉をたくさん頂戴いたしました。また、そうした式に臨む態度面だけでなく、心のこもった感動のある卒業式となりました。卒業式式辞の中で、私は、生徒たちのこの一年間の頑張りの代表的な場面として、体育祭と学校祭のことについて触れました。
昨年の春。校庭のグランドでA団、B団が競い合い、ぶつかり合い、全力で戦った体育祭。その閉会式。結果が発表されると声を上げて喜んだチーム、悔しさで涙を流したチーム。しかし、閉会式が終了し、グランドの向こう側で全校生徒が円陣を組み、お互いの健闘を称えあっていた姿。勝ち負けを乗り越え、全校が心を一つにする素晴らしさを教えてくれました。その中心にはリーダーとして全校を引っ張る君たちがいました。
秋。学校祭『メイク216のキセキ』一人ひとりが輝いていたあの燃えるような二日間。各学級で競い合った合唱コンクールの最後、全員で心を一つにして、心を込めて唄った『あすという日が』。この体育館全体を包み込んだすばらしい歌声。今でも、君たちの姿と歌声を鮮明に覚えています。学校祭を成功させようとする君たちの気持ちが心を一つにした合唱を通して伝わってきました。
◆文章にすれば、わずかなものですが、実際には体育祭や学校祭に取組む過程で、私たち大人が考える以上に、生徒たち一人ひとりは、より深く・より広く、さまざまなことを学び成長したのかもしれません。
◆この1年間の成長は、体育祭や学校祭等の学校行事だけでもたらされるものではありません。日常の中で発生する、さまざまなトラブルを通して成長につながることも多いものです。友達同士のいざこざ、喧嘩、はみだし、悪口、何気ない一言、対教師への不満や葛藤、ネットトラブル等。生徒自身の力で解決してきたものもあれば、教師の力をかりながら解決してきたこともあります。どのような場合であっても、さまざまなトラブルを体験し、それらを解決していく過程というものが生徒一人ひとりにとって大変貴重な「学びの場」となりました。そして、その「学びの場」を通して、一人ひとりは成長しているのだと思います。この1年間のご理解・ご協力に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。