【学校便り】桜の花

【解説】令和5年2月24日記

大方の人たちがそうであるように、私もまた桜が好きです。

私が幼い頃、親戚が集まって函館の五稜郭公園で花見をしていました。

時には町内会での集まりもあったのではないかと思います。

もちろんジンギスカンを食べながらの花見です。

その時の記憶が今でもしっかり残っています。

もう一つ、忘れられない桜があります。

大学の入学手続きで行った千葉大学キャンパスの散りゆく桜です。

見頃を過ぎていましたが、ようやっと自分も浪人生活を終わりにして大学生になるという感情がありましたから、桜の花は目にも鮮やかでした。

今回、この学校便りに掲載した桜の花の秘密については、朝会でも全校生徒に語り掛けた内容です。

生徒たちは、私の話にしっかり耳を傾けていたことを思い出します。

※初出 平成29年4月28日

◆時折、雪が降り、冬に戻ったのではないかという日もありますが、間違いなく春の温かな風が吹き、さわやかな季節になってきています。5月の中旬になれば千島桜、エゾ山桜も見事な花を咲かせるでしょう。

 

◆参観日の終わった次の日、家の周りの小枝を拾って歩きました。厳しい冬に家の周りの樹木も相当痛みつけられたようで例年になく地面に落ちている小枝も多いような気がします。小枝を拾いながら、千島桜やエゾ山桜の花芽を見てみました。うっすら色づいた花芽がたくさんあり、花が咲くのも楽しみだなと思いました。ところで、桜の花はどのような仕組みで咲くのだろうか。どうして一斉に開花するのだろうか。美しく咲いた花を見ながら、ふとそんな疑問がわき、植物には詳しくないので、調べてみたことがありました。

 

◆春に咲く桜の花。花のもとになっているのが花芽。つぼみです。その花芽は、実をいうと前年の夏に作られるというのです。桜の花が散り、しばらくすると次の年に咲く花の準備をします。しかし、それ以上花芽は大きくなることなく、一旦お休みの状態である「休眠」という時期に入ります。そして、休眠した花芽は、秋から冬の厳しい寒さにさらされます。じっと寒さに耐えるのです。

 

◆寒さも和らいだ頃、眠りからさめ、開花の準備を始めます。これを「休眠打破」というそうです。休眠打破は、この秋から冬にかけて一定期間、低温にさらされることが重要なポイント。ですから、冬のない地域や常夏の国では、美しく桜は咲かないのです。そして、春をむかえ、気温が上昇するにともなって、花芽は成長します。気温が高くなるスピードにあわせて、花芽の育ちも加速していきます。育ちのピーク、それが「開花」です。桜の開花は気温と大きく関係するのですから、その地域で一斉に花を咲かせることになります。

 

◆この桜の開花の仕組みを知った時、「ああ、なんて、人としての成長と似通っているのだろうか」と驚きました。いきなり花が咲くことはなく、花を咲かせるための準備期間がある。しかも、一定の期間、寒さという厳しい環境にさらされることで、美しい花を咲かせることができる。人も同じですよね。

 

◆人は、いきなり「成功」という花を咲かせることはありません。成功する、夢を実現するというためには、努力する期間が必要であり、その間には困難や苦しみもあります。その困難や苦しみにじっと耐えることで、成功や夢実現へと至るのです。美しい花を咲かせるためには、困難や苦しみはあって当たり前です。逆に言えば、困難や苦しみがあるからこそ、美しい花を咲かせることができるのです。

 

◆この1年という間に、生徒たちにはさまざまな困難が待ち構えていることでしょう。しかし、困難に耐え、困難を乗り越え、折れない心で生徒たち一人ひとりには是非美しい花を咲かせてほしいと思っています。

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