【教育雑誌原稿】学校づくりはシステムづくりである

【解説】平成31年4月6日記

時間を大切にし、先生方の働き方を変えていく。結果として、子どもの教育によい影響が出てくる。そのためにどうしたらよいのか。当然、よりよく変えていく最終責任者は校長である。しかし、現実には校長が方針を出し、教頭が実務的な責任を負っていくものである。だから、黒子としての教頭の役割は大きいものがある。現在の働き方改革を進めていくためには、教頭のあり方がとても重要である。また、教頭とともに教務主任も大切である。こうした学校組織におけるキーマンと言うのが必ず存在している。働き方改革も含めてあらゆる教育改革を進めていくためには、その多くを校長を補佐する教頭が中心となって、職員全体の考えも把握しながら進めていくことが肝要である。

※初出 平成13年 教育雑誌原稿

ほとんどの学校では、朝、職員打ち合わせが行われている。時間は10分程度。連絡事項のみとしているが、相談事項や協議事項が出され、時間をオーバーするところも珍しくない。子供たちが教室で待っているのに、延々と朝の打ち合わせが続く。

この朝の職員打ち合わせを改善したい。そのように考えていても、なかなか改善できない。それは何故か。変えることのできる責任者が明確ではないからである。ちなみに改善したいと思っている教師に、「朝の打ち合わせを改善できるのは、誰ですか。責任者は誰なのですか」と聞いてみるとよい。大方の学校では、首をひねるはずである。

教頭として私は次の提案をした。

運営責任者は教頭 司会は今まで通り日直が行う。

職員朝の打合せの流れ

1 日程の確認 教務主任(その日の指導のポイント、留意点などを説明する)

2 係からの補足説明

3 その他の連絡事項

4 教頭から(主に服務に関わることについて)

5 校長から

以上を10分以内で行う。

留意点・板書されていることは述べない。(見てわかること、読んでわかることは基本的に繰り返さない)

・遅刻するものを待たない。

・復唱しない。

・時間内で終了しそうのないときは、そこで打ち切る。

 

この提案のポイントは、朝の打ち合わせの運営責任者を明確にしたことである。明確にすることで、司会者が遅刻する教師を待とうとするとき、「始めましょう」と私が言うだけで始めることができる。時間内で終了しそうにない時も私が「打ち切りましょう」と言えば、それで終わる。また、板書されていることは口頭でも確認しないのであるから、時間は大幅に短縮する。朝の打ち合わせは、5分もかからない。通例3分程度で終わるようになった。

しかし、朝の打ち合わせの改善だけでは、学校は変わらない。何故か。相談事項、協議事項を抱えている教師が実際にいるのだから、そこにメスを加えねばならないのである。当然、朝の打ち合わせの改善とともに協議事項を処理する場としての職員会議や主に相談事項を処理する場としての研修の時間の持ち方も改善することとなる。

そのために、それらの諸会議が開催される放課後の活用の仕方が問題になる。それも1週間や1ヶ月という単位ではなく、1年間を見通した放課後の活用をどのようにするのかということを考えてく必要性が生じるのである。

私の学校では、放課後必要とされる諸会議等は次の通りであった。

・職員会議       ・研修         ・授業実践発表会

・学級経営反省会    ・学級交流会      ・分掌部会

・三部会        ・部長会議       ・教育課程検討委員会

・校内就学指導委員会  ・卒業式・入学式検討委員会

 

以上11の諸会議のうち、私は「卒業式・入学式検討委員会」「教育課程検討委員会」は廃止し9の諸会議とした。卒業式・入学式、並びに教育課程に関することは本来企画すべき教務部に移管した。卒業式・入学式の提案は三学期始の定例職員会議で行う。校内就学指導委員会は、特学担任が運営責任者とし、年度始めから動けるようにする。特学担任が複数いる場合は、特学担任の中で互選する。ただし校内就学指導委員会の体制は現状通りとした。

そして、9の諸会議について、年間を見通し、割り振りを行い、計画的に実施できるようにした。年間の日程表をもとに後日担当者に必要な諸会議等を記入してもらい日程を確定したのである。目安は次の通りのであった。

月曜日・・・校務分掌関係(分掌会議、部長会議、三部会)

木曜日・・・職員会議、研修関係(校内就学指導委員会を含む)

金曜日・・・学級経営関係(学級経営反省会、学級交流会、授業実践発表会)

 

各会議の担当者に回数ややるべき内容も全て明確にするように私は指示した。

以上のようにして、私は教頭として、朝の打ち合わせも含めて、諸会議の全てを改善していったのである。このことで学校の中に無駄な時間が削られ、職員にもゆとりが生じていったのである。

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