【教頭通信】子どもにとっての成功と失敗
【解説】令和4年11月17日記
人生を振り返ってみれば、私はさまざまな失敗や間違えをしてきました。
若気の至りということも多くありました。
だからといって、後悔ばかりの人生だったかというとそんなことはありません。
それなりに楽しく、幸福な人生でした。
人の生き方には、これが正解だというものは無いような気がします。
人は失敗や間違いをする。
それが前提です。
失敗や間違いをするから教育というのが必要なのです。
教育があるからといって、失敗や間違いを人間はしなくなるのかといったらそんなことはありません。
教育が完璧なんてことはないのです。
その人間観・教育観を教師が持っておくことはとても大切なことだと考えます。
※今回紹介する通信には、誤解されるような内容も含んでいるかもしれませんが、できるだけ当時発行した内容のままで掲載しています。
※初出 平成12年7月5日
子供達は様々な失敗や間違いをして成長していくものです。
以前、根室教育研究所が出した発達段階を抑えた学級経営という冊子がありました。
今でも覚えているのですが、子供の成長には成功ばかりでなく失敗も必要である、というようなことが書かれてありました。
成功ばかりでは優越感しか育ちません。
傲慢になります。
失敗ばかりでは劣等感しか育ちません。
卑屈になります。
成功と失敗がバランスよく体験することが必要になります。
私たち大人はどうしても子供達に失敗させることをよくないことだと考えがちです。
特に、一人っ子が増えていたり、兄弟の数が少なくなっている現代社会においては、失敗をさせないように温室育ちの子に育ててしまう危険性があります。
過保護・過干渉が子どもをダメにしていっています。
誤解を恐れないで言うならば、喫煙は麻疹のようなものです。飲酒は麻疹のようなものです。万引きは麻疹のようなものです。
子供達は、そうした体験を通しながら成長していきます。
しかし、ここで間違わないでほしいことは、だからといって、私が喫煙や飲酒や万引きを認めているということではないのです。
子供とは様々な間違いや失敗をするものなのです。
そして、それが子どもにとっては大切な体験となるのだということです。
それを理解した上で、どのように子供たちを教育していったら良いのかということです
そこを一番教育者としては問題にしなければなりません。
まず言えることは、間違いや失敗をさせないように、教師が何から何までお膳立てをし過保護・過干渉に陥らないようにしなければなりません。
ある程度教師側で準備したら、子供の安全・命に別状がなければ、教師には子供を見守るという姿勢が必要になります。
もしくは突き放すという姿勢が必要になります。
場合によっては、子供が困っている時、見て見ぬふりをするということもありえるのです。
そして残念ながら、子どもは失敗してしまった、間違いをしてしまった。
その時にこそ、教師の出番です。
その失敗や間違いを子供に乗り越えさせてあげるのです。
それが教育なのです。
出来心で万引きをしてしまった。
その最初の失敗の時にこそ、子供が大人から厳しく怒られ、厳しく指導されること。
それがその後の人生を決めてしまうのです。
「万引きなんて誰でもが通る道だ」なんて言って、物分かりのいい顔で子供に何も指導しないとしたら、その子は何度も万引きをするようになります。
タバコでも同じです。
「タバコは誰でもがする」なんてことを言って、物分かりのいい大人になれば、その後の人生はどこかでいびつなものになってしまいます。
最初の失敗の時にこそ指導のチャンスであり教育の上でとっても大切な場面なのです。
しかし、万引きや喫煙などの問題行動を極端に恐れるあまり、子供を監視しすぎるようなことがあってはなりません。
子供の根っこの部分が太くなりません。
逞しさのかけるもやしのような人間へと成長してしまいます。
様々なトラブルを通る中で人間としての幅や深まりができてくるのです 。