【教頭通信】子どもの言動を把握していますか。
【解説】令和2年5月12日
「子供を見る」ということが、教師の基本だと考えてきた。
子供を見ることなしに教育は成立しない。
そのことを教頭時代に若い職員に伝えたかった。
ただし「見る」ということだけでは、具体的に何をしていいのかは伝わらない。
そこで、見る観点、見る場面をできるだけ絞り込みながら、書籍を参考にして作り上げたものである。
※初出 平成13年 教頭通信
■校長先生から,朝の打合せや職員会議で「一人一人の子どもの言動を的確に把握して欲しい」という旨の話が何度かありました。
長く教師生活をやってくると、その体験から来る知恵ともいうべきものがあります。
例えば,その知恵の一つに「研究会をやることによって、反対に子どもが荒れてしまう」というものがあります。
研究会は,教師がよりよい教育を願って行うものです。すなわちそれは、子どものために行うものです。
研究会をすることによって,子どもがよくよくならなければ変です。
しかし、研究に取り組む過程で,研究会に参加する先生方によく見てもらおう,かっこいいとこを見てもらおう等と考え,自分の力量以上に背伸びをしすぎてしまうことがおきがちです。
その結果,子どもに無理をかけすぎたり,その場限りのことに取り組んだりして,教育課程・教育活動をむちゃくちゃにするということがあったりします。
これでは、何のために研究会をするのだかわからなくなります。本末転倒です。
■校長先生の「一人一人の言動を的確に把握しよう」ということは、日常的にとても大切なことです。そのことを分かった上で,研究会に取り組む今だからこそ,子どもから目を逸らしてはいけないと言っているわけです。
■子どもとのふれあいのチェックリストを作ってみました。
放課後、誰もいなくなった教室で試してみてください。
チェック項目 | |||
1 | 今日,とても気になった子はいましたか。 | いない | いた |
いた場合,それは誰ですか。 | 名前 | ||
①その子と一対一で話す機会を持った。 | 持った | 持っていない | |
②全体の中で励ましたり,声をかけたりした。 | した | していない | |
③目を合わせ,見守るように心がけた。 | 心がけた | 心がけなかった | |
2 | 元気がなく,おどおどしている子はいましたか。 | いない | いた |
いた場合,それは誰ですか。 | 名前 | ||
3 | いらいらして、荒れている子はいましたか。 | いない | いた |
いた場合,それは誰ですか。 | 名前 | ||
4 | はしゃぎすぎて、落ち着かない子はいましたか。 | いない | いた |
いた場合,それは誰ですか。 | 名前 | ||
5 | 叱りすぎたり,他の子のことを考えず誉めすぎたりした子はいませんでしたか。 | いない | いた |
いた場合,それは誰ですか。 | 名前 | ||
6 | 話をよく聞いてあげなかった子はいませんでしたか。 | いない | いた |
いた場合,それは誰ですか。 | 名前 | ||
7 | 1日中,生き生きしていた子に対して,微笑みかけ気軽に誉めましたか。 | 誉めた | 誉めない |
8 | よい行為をした子をみんなに紹介し,誉めましたか。 | 誉めた | 誉めない |
9 | 生き生きしていた子に対して,何かうれしいことでもあったのかと個人的に話しかけたりしましたか。 | 話しかけた | 話しかけない |
10 | 授業中、一人一人のノートを点検しましたか。 | した | していない |
11 | 授業中、全員が発言しましたか。 | した | していない |
12 | 勉強以外での子どもの様子を知ろうとしましたか。 | した | していない |
※『教育活動チェックリスト』(東洋館)をもとに自作しました。
■さて、どうですか。
一人一人の子どもとのやり取りを思い出すことができますか。
最低3日間、上のチェックをしてみるだけで教師の子どもへの対応が変化すると思います。
■子どもは,「明るく」「やさしく」「若い」先生が好きです。これは、いつの時代であっても,ほぼ同じです。本校には,若い先生方が多いわけですから,それだけで子どもたちにとっては大変魅力的なことです。
■ところが、「好きな先生」と「尊敬する先生」とは違います。尊敬される先生は,「子どもの可能性を引き出す先生」「ひいきをせず、誰に対しても公平に接する先生」「授業がわかりやすく楽しい先生」等となります。
このような先生になるためには,やはりその土台となるのは,子どもの的確な把握です。
優れた授業をするためには,やはり一人一人の的確な把握があってこそ,成立するものです。
「自分をきちんと先生は見てくれている」という思いが,教師に対する信頼となって表れ,心を開いて接してくれることにつながります。それがとりもなおさず「教師と子どもとのつながり」となるのです。