【生徒会誌】人工知能が人間の知能を超える日がやってくる

【解説】令和5年1月11日記

2011年の東日本大震災。

ここ最近のコロナ。

こうしたことが生じると誰が予想していたでしょうか。

何か起きるのか先が見えない時代。

私たちは、この先の見えない時代に生きています。

この先の見えない時代をどのように生きていったらいいのか。

教育では何が必要なのか。

その一つとして、コツコツと努力していく姿勢について生徒たちに訴えてみました。

※初出 平成29年3月

お金持ちになりたい、イチローのようにプロ野球で成功したい、総理大臣になりたい、社長になりたい、医者になりたい等、誰もが夢を持ちます。そして、年齢とともにその夢をあきらめがちになります。「自分は頭が悪い。どうせダメだ」「自分は、カッコ悪い。歌手になるのは無理だ」「自分には野球のセンスがない。風呂野球選手になるのは不可能だ!」などと思うものです。もしあなたがそのように思っているのだとしたら、それは間違いです。固定観念というものです。

 

最近アメリカの大学教授が一流の人間になるための要因を発見しました。そこには頭の良さを図る知能や、生まれつきの体力や容姿などは関係がなく、ある要因が決定的に重要だと分かったというのです。その要因とは、グリット。日本語に訳すると「やり抜く力」です。ビジネスリーダー、エリート学者、オリンピック選手における成功者の共通点は「才能」でも知能の「IQ」でもなく「グリット」(やり抜く力)だったというのです。人の成功にとって大切なのは、「才能」より「やり抜く力」です。情熱をもって目標達成まで、コツコツと努力する姿勢です。

 

私の思い出話です。中学時代にあだなが「ボンズ」という友人がいました。同じバレー部に入っていました。私より身長が低いけど体のがっしりした男でした。どちらかというと柔道部向きの体型でした。目立つ男ではありません。地味な男でした。勉強の成績も私より悪かったです。中学校を卒業して、同じ高校に行き、やはり同じバレー部に入りました。私はレギュラーとなりましたが、彼はいつもベンチを温める補欠選手でした。それでも彼は三年間まじめに努力し、バレーを最後までやり通しました。彼の長所、それはコツコツと努力することでした。それも努力を続けることができることでした。

 

正直、私は中学時代から彼には勉強でもスポーツでも負けたことがないと思い続けてきました。しかしそれは私の傲慢さであり、思い上がりでした。彼はバレーだけでなく、勉強も頑張り続けました。高校三年生の進学決定の時、彼は見事に北海道大学に合格したのです。もちろん国立大学に入るだけが人生にとって大切なことではありません。人それぞれに夢や目標、そして価値観が違っていいのです。成功することより幸福に暮らせることの方がよいと考える人がいてもいいのです。私が中学時代の友人である「ボンズ」のことを思うとき、「人を今だけで判断してはならない」「どんな人にも可能性がある」「どんな人も、努力をコツコツと続けていれば伸びる」ということなのです。

 

「やり抜く力」は誰でも伸ばすことができます。それでは、現状のあなたの「やり抜く力」はどの程度でしょうか。強い方でしょうか、それとも弱い方でしょうか。以下の設問に答えてみてください。

□私は挫折してもめげない。簡単にはあきらめない。

□私は努力家だ。

□一度やり始めたことは、必ずやり遂げる。

□私は勤勉だ。

□目標を設定したら、それを達成できるように頑張ることができる。

右の五問に全部イエスと答えられたら「やり抜く力」は強いです。もし、低い点数だとしても必ず伸ばすことができます。

これから一〇年後から二〇年後にかけて、現在の職業の半分はロボットなどの機械に取って代わられる、と言われています。つまり現在の職業の半分が消えてなくなってしまうのです。人工知能(AI)が人間の知能の総和を超えてしまうシンギュラリティ(技術的特異点)が二〇四五年に起きるとまで言われています。これからの時代は今まで人類が経験をしたことのないような、それこそSFの世界が待っているのかもしれません。

 

そうした世界に生きていく皆さんにとって必要なことは、日々生じる様々な問題に対して、自分の頭を使って解決していく力が求められることになります。また、点数などの数値では表されない「思いやり」「創造力」「おもてなしの力」「コミュニケーション能力」そして「やり抜く力」等が必要となってくるのでしょう。人工知能にはない力が、これから人類には必要とされるのです。どんな逆境にあっても、へこたれず、あきらめず前に進んでいく「やり抜く力」は、是非皆さんにつけてほしいし、伸ばしてほしいと願っています。

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