【学校便り】「大好きお母さん」

※初出 平成25年7月 学校便り巻頭言

◆先日、地区の生涯学習推進協議会の総会が開催されました。昨年度の事業報告や会計報告がされ、今年度の事業等を決定いたしました。さて、昨年度「心の通う家庭づくりや人間関係づくり」ということをねらいに、小中学生に「三行詩」を募集した事業がありました。とてもいい事業だったということで、今年度も実施することになりました。

◆昨年度の作品の一つに次のようなものがあります。

 

「ごめんなさい」

言えないけど本当は

大好きお母さん

 

中学生の作品です。多感な中学生。家では親とぶつかることもあるのでしょう。母親からすると、中学生と言ってもまだまだ子どもです。「早く起きなさい」「ご飯は食べたの」「宿題はきちんとしたの」「いつまでも携帯をいじってないで、家の手伝いぐらいしなさい」等々、毎日のように母親からお小言をもらいます。

◆そのたびに、「うるさいな~」「言われなくてもちゃんとするのに」等と心の中で思い、時には母親に口答えしたりするようになります。最悪の場合は、母親に対して口汚くののしったりします。きっと、この三行詩を書いた子もそうなのでしょう。つい母親に反抗し、喧嘩してしまう。自分にも非があると分かっていても、素直に母親に「ごめんなさい」と謝ることができない。

◆だけど、一人になってみると、母親と喧嘩してしまった後悔が湧き起こってくる。心の中に何ともいえない悲しさ、むなしさ、やり場のない感情といったものが出てくるのです。そして、一人心の中で「お母さん、ごめんね。反抗ばっかりしているけど、お母さんのこと大好きなんだよ」と思うのです。大人の誰もが通ってきた道。親に反抗し、親の存在がうっとうしく、親と何も話したくないと思ってしまう。そんな時期が誰にでもあったのではないでしょうか。

◆以前、ある母さんから相談されたことがありました。家庭で娘さんが反抗的で困ってしまう。それも言葉が悪すぎるというものでした。そのことに対して、私のアドバイスは、「子どもを認めてあげてください。ほめてあげてください」というものでした。

◆しかし、その母さんは「ほめることなんてないんです」と言います。そこで「本当にそうでしょうか。娘さんは、一人で朝起きられませんか。顔を洗うことはできませんか。学校に来ることはできませんか。それらは当たり前のことに思うかもしれませんが、世の中には、その当たり前のことができなくて、悩んでいる親もいるのです。当たり前のことができることに感謝しましょう」と言って、私は1つの提案をその母さんにしました。それは「毎日、五つ、ほめられることを記録してください。記録することは、当たり前のことでいいのです」

◆そして一週間後、また相談に来てください。改善していなかったら、また一緒に考えましょう」と言いました。それから一週間後、その母さんは笑顔でやってきました。「青坂先生、ありがとうございます。娘の反抗的な態度が直ってきました」私もびっくりしました。嘘のような本当の話です。

◆我が子と恐い顔で喧嘩していたときには、子どもの存在のありがたさがわかりませんでした。しかし、子どものよさを見つめることに、自分の心をチェンジした時、母親の我が子に接する態度が変わり、我が子の言動も変わったのです。もちろん、そんなに簡単にいくことはないかもしれません。毎日は我が子との戦いの日々かもしれません。うまくいかないことの方が多いでしょう。しかし、大人のあり方によって、子どもは変わるのだということを親も教師も肝に銘じておきたいものだと思います。

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