【PTA】和食の大切さ

「食」を見直そうという機運が、我が国で高まっています。別海町においても、給食センター問題を契機にして、今一度子ども達の食のあり方を考えてみようという取り組みが始まりつつあります。本校のホームページにも、毎日の給食の写真を載せています。少しでも、子ども達が給食で何を食べているのか、知って欲しいという願いからです。

今から、四年ほど前に次のような授業をしたことがありました。

■4年生の学級に補教(補欠)として入りました。その中に道徳の授業がありました。副読本を使った授業です。教材名は、「日本のお弁当」、身につけさせたい価値項目は「愛国心」です。

■教材である「日本のお弁当」は、3ページ分の量です。アメリカの学校に通う日本人である女の子が、弁当を持っていきます。その弁当をアメリカの子どもたちに笑われます。女の子は傷つきます。しかし、先生や周りの大人の助けで、自分の弁当すなわち「日本のお弁当」の良さに気づき、自信を持って弁当を持っていけるようになるというものです。

■さて、私はどのように授業したでしょうか。

■最初に教材文を読ませます。3度読ませました。一斉に音読、次は自分のペースで音読、そしてどんな話なのかを考えさせるために黙読です。教材文に「日本食」という言葉が出てきます。私は、この言葉が気になりました。「日本食」と同じような言葉に「和食」というのがあります。何故、「和食」ではなく「日本食」なのでしょうか。「日本食」という言葉で教えるより、「和食」という言葉で教えるほうが日本の良さを伝えることができます。私は、子どもたちに音読させながら、まずそんなことを考えていました。

■音読が終了して、私は登場人物は誰なのか、どんなお話なのかを聞きました。ここは本当に簡単にです。そして私はおもむろに「マクガバンレポート」と黒板に書きました。このマクガバンレポートというのは、1977年にアメリカで発表された食に関するレポートです。その後のアメリカ社会に大きな影響を与えたといわれています。病気になる源は食にある。食を改善すれば健康を維持できるという考え方を広めたものです。このレポートを契機に肉中心の欧米食から脱却していくことが大切であり、日本の食事つまり和食が見直されたのです。

■子どもたちに私はマクガバンレポートについて、簡単に説明しました。そして「和食」の大切さを説いたのです。

■次に私は黒板に書いた「和食」という言葉の「和」だけを取り上げました。

「この和には、どんな意味があるのでしょうか」

そのことを考えさせるために次のことを黒板に書きました。

「ふろしきとカバン」

「この違いは、どんなことがありますか」

子どもたちに答えさせます。

私が説明します。

「風呂敷は日本の物。カバンは外国の物です。風呂敷は、色々な物を包めます。しかし、カバンは決まった形の物しか入れることはできません。」

次に「着物と洋服」と黒板に書きました。同じように子どもたちに答えさせた後、私が説明します。

「着物は日本。洋服は外国ですね。着物は身長が同じくらいだと、太っている人でもやせている人でも着ることができます。つまりあまり体型に関係なく着ることができます。しかし、洋服は違います。サイズが決まっているのです」

そして「下駄と靴」と黒板に書き、同じ事をします。

「下駄は日本。靴は外国。下駄は多少足のサイズが違っていても履けるのですが、靴は足のサイズが違うと履けないのです。」

■そして「和」について説明します。

「いろいろな物をそのまま受け入れ、一つにまとまる。これを漢字一文字でいうと和ということになるのです。」

そして黒板には「大和」と書きます。

「でたらめでもいいですから、読んで御覧なさい」

子どもたちは色々と読みますが、正解が出ません。私は正解は「やまと」であると告げます。

「昔、日本のことを大和と言っていました。大きく和する。つまり色々なことを受け入れ一つにまとめていくという建国の心があったのだ」と説明しました。

■副読本にある「日本食」ということではなく、「和食」という言葉で考えてみたら日本の良さは伝わらないでしょうか。和食のお膳を見てください。さまざまな食材から作られています。山のもの、海のものが少しずつ満載です。このような和食というのは体にいいに決まっているのです。

■マクガバンレポートを契機にその後5年おきに一般向けにガイドラインが発表されています。その中で言われているのは、「成人病の予防には和食がいい」ということです。

■現在日本は、若い人たちを中心に食の欧米化が進んでいます。その結果どうなっているでしょうか。小学生にも成人病が発生し、病気の種類も急速に欧米化しているという現実です。「食の教育」は今後子どもたちの命と健康を守る上で大変重要なこととなってくるでしょう。

■そんなことを考え、文部科学省のサイトを見ていたら、「食生活を考えよう」という子供向けのパンフレットを見つけました。その中でもやはり「和食の大切さ」が言われていました。

【初出 平成17年PTA機関誌】

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