【校長通信】教える内容はシンプルにし、変化のある繰り返しで授業を進める

【解説】令和5年1月3日記

授業というのは、校長になっても面白いものです。

子どもたちを前にして、いかに授業のねらいを達成するか。

それも一人残らずです。

飽きさせず、楽しみながら授業にのぞんでくれることを常に願っていました。

※初出 平成22年4月23日

◆S先生が病気でお休み。その補欠をI先生が入っている。職員室でI先生と話をしていると、I先生は算数の授業で困っているようだった。その話をしている時、K先生が、いつもの明るい声で「校長先生に入ってもらえばいいんでしょ」 「これはやばい」と思いつつも、ここで断ったら「校長がすたる」そして、「久しぶりの授業への挑戦ということで、いい学びになるかもしれない」という思いがよぎり、急きょ授業をするということにした。

 

◆単元は「概数の計算・見積もり」という2ページ分のところだ。教科書を一目見て、「これは難しい」と思った。これは何の準備もなしで教室に行って授業しても、「撃沈」する。それなりに教材研究が必要だ。私がそのためにしたことは、「TOSSインターネットランド」にアクセスし、授業のヒントを得たことだ。そのサイトには、その単元を検索にかけると一本しか実践記録がない。それでも貴重なヒントにはなる。授業のヒントとしたことは、やさしい問題で概数のやり方を教えていたことだ。後は、教科書通りに授業を進めればよい。そのように考えた。

 

◆授業は、シンプルであればあるほどよい。シンプルだというのは、その1時間の中で教えること、身につけさせることはたった一つでよい、ということだ。教える内容をギリギリまで絞り込むのである。ここでは「上から○けたの概数にしなさい」ということである。それでは、いきなり数値を示し、「上から1ケタの概数にしなさい」と言って6年生が付いてこれるだろうか。まず、それは無理だろうと思った。そこで考えたことは、「上から1ケタの概数」ということは、「上から2ケタ目を四捨五入する」ということだ。ここがわかれば、できる。そのために私がしたことは次のようなことだ。例えば「157を上から1けたの概数にしなさい」というときには、百の位の「1」の数の上に小さな三角印を付けさせる。そして、四捨五入する十の位の「5」を丸で囲ませる。そして、問う。「5を四捨五入すると、切り上げですか、切り捨てですか」

 

◆このようにして、変化を繰り返しながらいくつも「先生問題」を出し、概数のやり方を身につけさせていく。そのように考えた。

◆そして実際の授業。授業開始のチャイムが鳴る。しかし、教室には半数以上の子がいない。想定外だ。「この場合、どうすればよいのか」そのことを教室の前に立ちながら考える。授業をやるのか、それとも全員がそろうまで待つのか。騒々しい中で「ノートを出しなさい」と言っても、ノートを出した子は、2名。その中でどうしたらいいのかということで、頭はフル回転である。

 

◆授業は、途中何回か挫折しそうになりながらも何とか乗り切った。しかし、私が授業をしながら、常に考えていたことは、一人残らず全員を授業に巻き込んでいくためにはどうしたらよいのかということであった。その対応が私を疲れさせる。緊張させる。しかし、これが授業なのだなと思った。やっぱり授業を毎日している先生方はすごい! 私はたった1時間でダウンである。

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