【校長通信】必要感と心地よさ、そして点検
【解説】令和4年12月28日記
GIGA端末が学校に導入されて問題になるのが、GIGA端末の使い方がきちんとできなかったり、ルールや決まり事を守れないといったことがあります。
GIGA端末の使い方のルールを特別なものとして考えるのではなく、それ以外のルールに対して教師はどのようにしているのかということがまず大事だと私は考えています。
教師が一方的に子供たちに守らせようとしてはいないでしょうか。
「事前指導が大切」という言葉の基に、一方的・強制的に子供たちに指導してはいないでしょうか。
ルールの機能のさせ方について書いた通信です。
※初出 平成22年4月28日
◆連休明けごろから、学級のルールが機能していかないことがよくあります。学級の「5月危機」というものです。以下は、「学級のルール」を生かす知恵 と題して書いた文章です。大分前の私の文章です。何かの参考にしてください。
知恵1 すぐれた教師は、子どもたちにルールの必要性を実感させる。
ルールは、少なければ少ないほど良い。子ども側に立ったルールが必要であり、子ども自身が、そのルールの必要性を認識していることが大切である。そのためには、日々学級の中で生じるトラブルやいざこざの中からルールをつくっていくことが効果的である。これ以外にも、さまざまな場面で、教育活動がスムーズに運営されるためにルールが必要とされることもある。その場合は、教師が子どもたち全員に対してきちんと趣意説明することが必要である。
知恵2 すぐれた教師は、子どもたちに心地よさを実感させる。
ルールに従って行動すると心地よいことを実感させると、子どもたちは進んでルールを守ろうとする。次のルールを学級で決めたとする。
「一週間に1度グループで休み時間遊ぶ」
グループで遊ぶことが苦手な子もいる。グループで遊ばせると、必ずといっていいほど、トラブルが生じる。相談させると、まず何の遊びをするかでもめる。遊び始めると、遊びのルールを無視する子が出てきて遊びが成立しない。休み時間が終わって、子どもたちに聞く。
「全員起立。グループで楽しく遊べたという人は、座りなさい」
不満があるグループは立ったまま。
「先生は、グループで遊ぶことはとても大切だと考えています。グループで遊べるようになることも大切な勉強なのです。そのグループは、昼休み、もう一度遊びなさい」
昼休みが終わって、そのグループに聞く。
「とても楽しかった」
笑顔で話す子どもたちを、教師は笑顔で聞いてあげる。こうして子どもたちはグループで遊ぶことの心地よさを実感する。
朝読書の時間。静かに本を読むことになっている。しかし、中には友達と話してうるさくする子もいる。これも静かにして、読書することが心地よいと実感する子が、その教室にたくさんいれば、自分たちで解決するようになる。そのためには、静かに読書する心地よさを何度も体験させておく。
知恵3 すぐれた教師は、ルールを絶えずチェックする。
ルールは、ほったらかしにしておくと、必ずほころびが生じる。ルールを破る子、無視する子が出てくる。ほころびを教師はほったらかしにしておいてはいけない。ルールが機能しているかを点検し、ルールを守れるようにする。その場合、教師自らがする場合と子どもたちができるように学級の中にシステムを作り上げる方法がある。教師が点検し、指導の手を入れる場合の留意点。きちんとルールを守っている子をほめるということだ。ルールを破る子や無視する子に指導の眼は行きがちであるが、それをしすぎない。きちんとしている子達をほめる。その上で、時にはできていない事実を指摘する。説教は、絶対に避けるのである。