【レポート】全校で取り組んだまちづくり教育(地域での体験学習)

【解説】平成30年9月28日記

今から30年も前の実践です。今は「総合的な学習の時間」というのがありますが、当時は総合の「そ」の字もない時代です。「どうせやるなら、でっかいことをやろう!」そんな考えに満ちた実践でした。

全校児童約600名を動かす全教職員で作り上げた「ダイナミックな実践」です。地域の著名人、お年寄りたち、各種関係機関を動かし、多くの人たちに協力をいただきました。

その実践を後日レポートとしてまとめました。総合的な学習の時間が新設されるということで、何かの参考になればという思いで書き上げたものです。

※初出 平成10年 校内職員向けレポート

■「中間まとめ」特別活動におけるキーワードは、「自発的自治的活動」「交流」「体験」ということである。例えば、「学校行事については、自然体験、異年齢集団の活動や高齢者とのふれあい、ボランティア活動等体験的な活動を重視する」「地域の人々の協力を得るとともに地域における活動との連携を図る」等と明記されている。

 

■今から10年前、私は学校の研究推進の責任者として、「地域に飛び出す子供」を合言葉に「ふるさとタイム」というのに取り組んでいた。今で言えば特別活動における「総合的な学習」と言えるものであった。その「ふるさとタイム」について紹介する。

 

① ふるさとタイムについて

今までも、地域の特性を生かした教育活動を実施してきたところであるが、今まで以上に別海の地域性を生かした創意ある教育活動、日課表の工夫など、より本校の個性化を図る必要がある。そのために、地域の自然・施設・文化・人材の活用を図り、指導の充実を図るために「ふるさとタイム」を設けた。また、今年度の研究をよりいっそう推進していく必要性とともに、生涯学習者を育てる観点からこの時間を設定し、取り組んできたところである。この時間は、各教科等の目標や内容を超えて、計画的に展開される活動で、課題的、体験的な活動であり、各教科等の学習の基盤となったり、発展となったりして行われる総合的・全校的活動である。また、本校の教育目標の具現化のための重要な実践的体験的教育活動と押さえ、生涯教育の趣旨を基調として実践してきたものである。

 

② ふるさとタイムのねらい

地域や本校の特色を生かし、児童の実態に即した有効な教育活動を積極的、継続的に実施することにより、児童の健全な自主性と豊かな創造性、社会性の育成を図るとともに、うるおいのある充実した学校生活を築こうとする実践的態度を育てようとするものである。また、地域の自然、歴史、文化に親しむ(家庭、地域の連携をもとにした)活動を教育活動に組み込むことによって、地域を愛し地域に生きる子供の育成を目指す。そしてまた、地域の自然や伝統的な行事などに触れ、その中で、様々な体験をすることによって、地域に親しみ、地域に気付き、地域に対する豊かな感情、愛着の情を持たせるものである。

 

※社会科との違いは、異年齢集団とともに学習することであり、より遊び的要素を取り入れるということである。

 

■年間の活動の中から「伝承遊び」に関わるものを紹介する。

 

1.活動テーマ名

「伝承遊びを通して昔の別海を知ろう」

 

2.活動について

③全校児童の実態

校外における児童の実態を振り返ったとき、元来、子供は遊び好きなのにも関わらず、放課になっても、土曜日、日曜日になっても一向に外で集団遊びをしている姿が見られないことが報告された。それは、結局は家の中でTVやTVゲームなどの一人遊びに夢中になり、また、遊んでいても二、三人そして同学年の子とであった。つまり、自分と意気の合う子としか遊ばない傾向が強いのである。 地域の中でのこの様な傾向は、校内の生活の中にも影響を及ぼしてきている。集団で遊ぶことができない。もめごとを極端に嫌う。差別的傾向が強い。

このような子供達に、是非、今身に付けさせなければならないことは、「生命の尊重」であり、「思いやりの心」である。そのために体験的、自主的、主体的な教育活動として作り上げていくことが可能な「伝承遊び」に取り組むことにした。

 

④「伝承遊び」について

「伝承遊び」には、次のような利点がある。

・子供の対人関係の拡大を図ることが出来る。すなわち、ヨコの関係だけになっていた子供の社会をタテの関係に拡大していくことが可能である。

・1年生から6年生まで、どの子も遊びに参加でき、自ら創意工夫していくことができる。

・「伝承遊び」を通して、昔の生活をしのぶことができ、家庭や地域に戻ってからも身の周りの大人の人とも交流できる。

以上の理由に基づいて、今回の取組みになった。

 

3.全体活動計画

総時数7時間

①全体の展開

1.9月30日(土)

第一回地域の人から昔の遊びを教わろう    1時間

指導重点事項1.入 場 放送の指示にしたがって入場する。

2.聞き方 体育座りで聞く。

3.6年生の動き グループを整列させたら列の後に付く。

4.退 場 音楽がかかったら手拍子。

3グループごとに退場。前の3グループが退場を始めたら次の3グループが足踏みを始める。

展 開

・はじめのあいさつと歌

1.昔の話

2.地域の人、例えばお年寄り等に昔の遊びを紹介してもらい、模範演技してもらう。

3.子供のグループの中にお年寄りが入って実際にやってみる。

・おわりのあいさつと歌

 

 2.10月7日(土)

第二回地域の人から昔の遊びを教わろう    1時間

指導重点事項  未定 前回の反省をもとに設定する。

展 開

・はじめのあいさつと歌 10分

1.昔の話        5分

2.地域の人、例えばお年寄り等に昔の遊びを紹介してもらい、模範演技してもらう。       5分

3.子供のグループの中にお年寄りが入って実際にやってみる。 20分

・おわりのあいさつと歌  5分

 

 3.10月14日(土)

第一回 昔の遊びフェスティバル    2時間

重点指導項目1.聞く態度

2.歌声指導

3.入退場

全体の流れはいつもと同じすなわち、体育館に集合し、あいさつ、校長先生のはなし、歌を歌い、そして活動に入る。活動が終われば体育館に集合し、先生から話しがあり、終わりに全員で歌を歌う。

大きく、次の三つのコーナーにわける。

1.交流コーナー

2.チャレンジコーナー

3.製作コーナー

そして、この三つのコーナーが幾つかの小さなコーナーから作られるわけである。

  1.交流コーナー

お年寄りから遊びを教えてもらう。

新居・青坂

①お手だま 体育館 おばあちゃん

②竹わり 体育館 おばあちゃん

③こま回し 前庭 雨天体育館  小田さん

④けんだま 体育館

⑤竹馬 前庭  雨天プレールーム

  2.チャレンジコーナー

以前行ったチャレラン大会の時と同じように記録に挑戦。

子供は担当しない。教師で行う。

①靴飛ばし グランド 雨天1の2の教室で画鋲回し  鶴田 梶浦

②豆つかみ皿移し 家庭科室 伊藤 佐藤

③紙ちぎり 理科室 小原 上田

④けんだま大皿に何回連続してできるか。 1年1組の教室 棚橋 池田

⑤おてだま片手で2個を何回できるか。 特学の教室 西館 小野

⑥竹馬何メートル歩けるか。 グランド 雨天図工室でパッチづくり

高田 小松

  3.製作コーナー

割箸でっぽうの作り方を老川さんから教わり、実際に作り、遊んでみる。図工室 滝内

 

4.10月21日(土)(生涯教育研究会)

別海の昔を知ろう        1時間

展 開

・はじめのあいさつと歌    5分

1.昔の話 上杉元町長    10分

2.地域の人、例えばお年寄り等に昔の遊びを紹介してもらい、模範演技してもらう。         5分

3.子供のグループの中にお年寄りが入って実際にやってみる。  20分

・おわりのあいさつと歌    5分

 

5.10月28日(土)

第二回 昔の遊びフェスティバル      2時間

10月14日の第一回 昔の遊びフェスティバルのときとほぼ同じ。

ただし最後に、協力していただいた地域の方々に対しての感謝を伝える時間を設定する。

 

②協力していただける地域の人

・上杉貞前町長

・老人会の人たち(老川さんを中心にして)約20名

・別海中央公民館

 

(以下、略)

 

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