【学校便り】「どぶさらい」と「おさらい」
【解説】令和5年1月20日記
言葉にこだわってみると、色々と違った見方や考え方ができて、なかなか興味深いものです。
長期休業中に課題として与えられる復習は、機械的・形式的にするのではなく、やるからには自分の苦手や弱点克服であってほしい。
そのことを伝えたいために「おさらい」という言葉を紹介しています。
夏休み直前の終業式に発行した学校便りになります。
※初出 平成28年7月22日
◆教師になりたての頃のことです。PTA環境整備作業の中に、グランドの側溝に溜まった土砂やごみをスコップで取り除くという作業がありました。グランドより一段低い側溝に、スコップを持って入り、底に溜まっている固く重くなった土砂をスコップで掘り、側溝から見ると一段高くなったグランドの地面の上に積んでいくのです。植樹や枝払い、ペンキ塗りとは違って、なんとも地味な作業でした。地味な作業、しかも結構大変なので、正直私にとってあまり好きな作業とは言えませんでした。
◆しかし、溜まった土砂やごみをきちんと取り除いておかないと水の流れが悪くなり、融雪時や雨天時、水がよく流れていかなくなることでグランドが大変なことになると教わったものです。当時若かった私は、先輩教師と一緒に作業しながら「青ちゃん。どぶさらいだよ。どぶさらいという言葉知っているの?」等と言われたものです。
◆池、側溝などの底に溜まった泥や土砂、ごみをスコップなどで取り除くことを「どぶさらい」と言っていました。今ではほとんど聞かなくなった言葉です。「さらう」という言葉を辞書で引くと「川や井戸などの底にたまる土砂やごみを取り除き、水の流れをよくすること」と出てきます。そしてその「さらう」を語源とした言葉で「おさらい」というのがあります。
◆私が小学生の時、授業の冒頭で「前の時間に学習したこと、きちんとおさらいしてきましたか?」とか、授業が終わるとき「今日習ったことを家に帰ってからきちんとおさらいしておきましょう」と担任の先生からよく言われたものです。「おさらい」という言葉を、誰もがわかる言葉で言えば復習のことです。学んだことを繰り返しやってみることを復習というわけですが、「おさらい」とは少し違う感じがします。
◆復習は、ただ単に繰り返し勉強や練習をするという意味合いが強いような感じがします。しかし、「おさらい」には習ったことを後から何度も繰り返しやることで、「できない」「わからない」という泥を取り除き、スムーズにできるようにすること、わかるようにすること。そんな意味合いが強いような感じがします。「復習」と「おさらい」の微妙な違いなのですが、「おさらい」には学ぶことの大切なポイントが含まれているようです。
◆本日で一学期は終了です。体育祭、期末テスト、中体連など多くの場面で生徒たちは頑張ってきました。実り多い学期となりました。明日から26日間の夏休みが始まります。一学期に習った事をしっかりと自分のものとするためにも「おさらい」をこの夏休み中に是非してほしいなと思います。各学年5日間ほどの学習会も設定されています。家ではなかなかできないという生徒は是非利用してほしいと思います。(詳しくは各担任から知らされています)
◆健康で安全に暮らし、有意義な夏休みになることを祈っています。