【校長通信】ハインリッヒの法則と学校の信頼

【解説】令和6年4月10日記

学校には毎日のように様々なトラブルが起きます。

職員や子供が生活しているわけですから、何らかのトラブルが生じない方がおかしいのです。

今回、校長通信で書いたのはアルバムに関する「ちょっとしたトラブル」です。

しかし、それをきちんと解決していくことが学校の信頼へとつながります。

また、なんでもかんでも堅苦しく考え、きちんと問題を解決していこうとすると窮屈になるものです。

そこは、匙加減が必要なのでしょう。

※初出 平成22年9月17日

◆今回の「アルバム問題」を考えた時、様々な教訓を得ることができる。アルバム作成は、どのようにしたらよいのか。アルバム作成の責任者とは誰なのか。誰がチェックすべきなのか。ミスがあった時、学校はどのように対応したらよいのか。学校と業者の関係はどうあったらよいのか。等など、色々と考えることができる。

◆生徒指導では、「ハインリッヒの法則」というのが有名である。ハインリッヒの法則というのは、アメリカの災害事故から導き出された法則である。一つの重大事故が起きるとき、その裏には29の小さな事故がある。その小さな事故の裏には、300の不適切な行動等があるというものである。

 

◆今回の「アルバム問題」は、一歩間違えば大きなニュースとなって、学校の信頼を大きく損なうものになる可能性がある「重大な事故」であった。このことをハインリッヒの法則に従えば、この問題が顕在化する前には、29の小さな事故があり、300もの不適切な行動等があったのではないかということになる。大方の方は、「そんなにないよ」と思うかもしれない。しかし、そのように考えていたのでは再発防止策は立てられないことになってしまう。

 

◆アルバムという問題だけで考えれば、いくつかの問題はあったかもしれないが、そんなには多くはないだろう。しかし、それをアルバムという問題ではなく、違う観点から考えてみたらどうだろうか。アルバム問題で学校が大きな損失を被るのは、「信頼」という問題である。すなわち、「学校の信頼」という観点から、今までの学校の在り方を振り返ってみる必要があるのではないかということだ。

 

◆学校の信頼とは、保護者や地域との関係がどうなっているのかということだ。保護者や地域から、「いい学校だ」「先生方に子どもを任せておけば、安心だ」等と思われているのか。そこを冷静に考えてみることが必要なのだ。日本全体は、「豊かさの時代」から「いきがいの時代」へと変化してきている。大きな歴史の流れの中で、日本社会は転換点に差し掛かっている。豊かさの時代の中にあっては、教師はどうあればよかったのか。そして、その教師の在り方は、生きがいの時代の中でも同じなのか。違うのか。今、教師が社会から求められているのは、今までの教師ではない。それはもちろん、教師ばかりではなく、あらゆる職業に及んでいる。

 

◆豊かさを求めた時代にあっては、内向きの考え方でもよかった。しかし、これからの時代にあっては、内向きの発想ではやっていけない。内向きのことだけでなく、様々な人と結び付き、広く社会と結び付いていく発想と行動力が求められている。学校の信頼という点から考えた時、どこかで内向きになっていたのではないか。保護者、地域と積極的に関わろうとしてきたのか、そのことを今回のアルバム問題で問われているような気がしている。

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