【校長通信】授業効果・指導効果

【解説】令和5年8月30日(水)

子供たちは、失敗もするし、間違いもします。

しかし、それは人としての成長には不可欠なものです。

そのことを踏まえたうえで、教師の指導は最大限効果があるものを追究しなければなりません。

少しでも、日々より良い指導を目指して研鑽に励むことが求められます。

子ども主体の教育だとしても、教師という立場からの視点で考えた時は、やはり教育にとって指導は切り離されるものではありません。

※初出 平成22年7月2日

◆自分に教師としての力があるのか、ないのか。子どもに力をつけているのか、いないのか。そのことを考えると教師という職業は、何ともいい加減な職業であるなと感じていた時期があった。職人であれば、その人に力があるのかないのか、はっきりわかる。大工であれば、カンナのかけ方やのこぎりの使い方一つで、その大工の力が見て取れる。ところが、教師というのはどうだろうか。何とも、とらえどころのない職業だなと思う。

 

◆そこで、自分の教え方が適切なものとなっているのか、子ども達に力が付いていっているのか、自分なりに判断しようと考え、実践してみたことがあった。それは次のような方法である。例えば国語で『川とノリオ』の単元があったとする。10時間で教えることになっていたとしよう。その場合、指導が終了した10時間目にテストをするのが通例である。テストをしてみて、平均点が90点以上とれていれば、「今回はよかった」とか「教え方が良かったからかな」ということになりがちだ。しかし、本当にそうなのか。もともと子ども達の能力が高かったから、平均点90点以上とれたのかもしれない。そんなことを考えたことがないだろうか。そこで私の教え方が効果があったかどうかを判断するために、単元導入時、つまり読み取りの授業をする前に、最後に実施するテストをコピーし、子ども達にやらせたことがある。当然、子ども達からはブーブー文句が出る。

「まだ習ってないよ」「できっこないよ」

「教えていないのだから、できなくて当たり前です。これは成績とは関係ありません。先生の教え方をよくするためにするものです。協力してください」

と言って、子ども達にやってもらう。漢字の読み書きも不十分なのだから、平均点は60点程度。しかし、満点近くとる子もいる。それから8時間、『川とノリオ』の学習を進める。そして、最後にまたテストをする。本番のテストである。結果、平均点が90点。とすると、最初60点で最後90点なのだから、授業によって30点の伸びがあったことになる。30点の学習効果・指導効果があったということだ。もし仮に最初が80点で最後が85点だとしたら、5点の学習効果しかなかったことになる。

 

◆そこで考える。どのような教え方が効果的なのか、それを考える。考えてみると、効果的な方法と言うのが自分なりにわかるようになってくるのだ。

学習効果・指導効果を常に考えて実践していると教え方は向上する。

ただし、この場合常に数値化できる測定できることが必要だ。跳び箱を跳べない子が、指導前は何人いたのか。指導した結果、何人跳べるようになったのか。掛け算九九、最初何人覚えていたのか。指導した結果、何人覚えたのか。こうした意識を持って、指導法を改善していくのである。

 

◆指導前と指導後の伸びを意識すると、子ども達の変化が見えてくる。わずかな進歩でも、ほめてあげることの大切さが見えてくる。努力している子の素晴らしさが分かってくる。このことは、単元というある程度の時間数の指導だけでなく、わずか1時間の授業でも意識するだけで随分教え方というのは変わってくるものだ。

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