【教頭通信】基礎学力徹底のための取り組み①

【解説】平成30年8月15日記

以前言われた「ゆとり教育」その狙いとするところはきちんと理解されてはいないのでしょうが、今となっては誰も見向きもしない考え方でしょう。当時は、「ゆとり教育」反対派は肩身を狭い思いをしていたものです。しかし、「ゆとり教育」という考え方が出たおかげで、教育の本筋は誰にでも理解されたのではないかと思います。簡単に言えば、基礎学力を基盤として意欲や思考力を育てていこうとする考え方です。その上で、子どもの実態や保護者の実態、地域の実態等に応じて、どのように教育していったらよいのかということが今は問われています。それは少子化を迎えている今日、待ったなしの状況です。

平成13年当時「ゆとり教育」の賛否が渦巻いている状況の中で、中央教育審議会は画期的な提言をしていました。それについて触れた教頭通信です。

※初出 平成13年教頭通信

■本校の子どもたちに基礎学力を付けていく取り組みを研修部中心となって取り組んできました。その成果が徐々に表れてきていると思います。私の娘の家庭に帰ってきてからの様子を見ていると、着実に学習する習慣がついているようです。特に上の娘は、必ず机に向かい何ごとかの勉強をしています。決して長い時間ではありませんが、好ましい習慣だと親である私は思っています。親がうるさく言ったわけではありませんから、やはり担任の先生の力というのはすごいものです。

■教育課程研に2回出てきました。道徳部会の助言者ということもあり、2回も出なくてはならないことになってしまいました。そこで、気になったことを書いておきます。質問に答える形で、現在の根室管内の取り組み状況について局から話がありました。その際、基礎学力のことについて話題になりました。局の説明を聞いていましたら、なにかしら違和感を覚えました。基礎学力、とりわけ「読み・書き・計算」に力を入れて取り組むのは変だというように聞こえてきたのです。このことは、本校にとっても、ちょっと聞き逃してはならない大切なことだと私は思いました。この一年間本校が取り組んできたことが無意味になってしまうからです。(無意味というのは極端かもしれませんが、本校の取り組みが間違っていたのではないかと不安になってしまいます)

■私が何かを考えるとき、常に肝に銘じていることがあります。それは、「根拠」ということです。「何故、そう考えたのか。その根拠はどこにあるのか」「何故、そのようにするのか。その根拠はどこにあるのか」など、常に根拠ということを問題にします。そして、その根拠を理解したうえで、自分はどのように考えるのかということを問題にします。

■さて、そこで先ほどの問題です。とりわけ「読み・書き・計算」について小学校教育ではどのようにすればよいのかという問題です。取り組むけどあまり重要視しなくてよいのか、それとも重要視すべきなのか。みなさんは、どのように考えますか。そしてその根拠はありますか。

■中央教育審議会が「新しい時代における教養教育の在り方」というのを答申いたしました。(これはつい先日のことです。文部科学省のホームページで見ることができます)その中に次のような一節があります。

 

確かな基礎学力を育てる

多様な個性の基盤には、基礎的・基本的な知識・技能が不可欠である。子どもの個性や自主性の重要性を強調するあまり、基礎的・基本的な知識・技能を繰り返し教える指導をも「一方的に教え込む」ものとして、好ましくないとする見解も一部にある。しかし、基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させ、それを基盤として、更なる自主的学習につなげることによってはじめて、多様な個性も伸ばすことができるものである。各学校は、すべての児童生徒が、「読み、書き、計算」をはじめとする基本的な事項を確実に習得し、学習する習慣や物事に粘り強く取り組む態度、科学的にものを考える力や態度を身に付けることができるよう、全力を注いで指導する必要がある。

①基礎学力の徹底のためのきめ細やかな指導の充実

読み・書き・計算などの基本的な事項を徹底するため、各学校では、反復練習や個別の家庭学習の課題の設定、放課後の個別指導や補習などのきめ細やかな指導を行う必要がある。このため、社会人や大学生等をティーチングアシスタントとして積極的に活用するべきである。中学校や高等学校の教員が、小学校や中学校での指導に参加することも有意義である。あわせて、教職員定数の更なる改善を図る必要がある。

②国語教育や読書指導の重視

国語教育を一層重視する必要がある。その際、素読や暗唱、朗読など、言葉のリズムや美しさを体で覚えさせるような指導の良さを見直すべきである。また、近年多くの学校に広がっている「朝の10分間読書」は、読書の楽しみを知るだけでなく、集中力の向上などにも大きな成果があると言われ、このような活動が更に広がっていくことが期待される。あわせて、司書教諭の配置やボランティアの活用、情報機器の整備などを通じ、図書館の総合的な機能の充実に取り組んでいく必要がある。

③取組を検証する仕組みづくり

確かな基礎学力を育てるための取組をより実効あるものとするためには、絶えずその成果を検証することが重要である。このため、各学校において、学校の教育活動の自己点検・評価に取り組む必要がある。また、全国的な学力調査の実施を通じ、児童生徒の学習到達度を把握するとともに、その結果を踏まえた改善策を速やかに講じる必要がある。さらに、論理的思考力や応用力等の評価方法の研究等にも取り組むべきである。

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