【教頭通信】子どもの力を引き出すためには優れた教育思想に裏打ちされた具体的な手立てが必要
【解説】令和4年11月15日記
教頭職は、校長先生が指し示す学校教育の姿に少しでも近づけることです。
時には自分の考えをコントロールしながら、校長先生の意図するところを現実のものとしていくこと。
そういう風に言えば、何かつまらないと感じる方もいるかもしれませんが、そこに醍醐味があるとも言えます。
今回紹介する教頭通信は、校長先生が替わったときに書いたものとなります。
いち早く校長先生の考え方のポイントを職員に伝えようとしたものです。
※初出 平成13年4月9日
■新年度、校長先生が代わりました。
新しく来られた校長先生が、4月4日の職員会議で話されたことは次のようなことです。
粗く言うと次の3点が大切になります。
①子どもが喜んで通ってくる学校
②親が通わせたくなるような学校 ③先生方の働き甲斐のある学校 |
とってもシンプルですが、それらを達成しようとなると大変難しいことです。
■「子どもが喜んで通ってくる学校」とは、どんな学校でしょうか。
ディズニーランドのような学校でしょうか。
ゲームセンターのような学校でしょうか。
学校は公園ではありません。ゲームセンターでもありません。
もちろん、公園やゲームセンターが本来持っている要素をこれからの学校は持ち合わせる必要があるでしょう。
しかし、学校という場はいかなることをする場なのか、それは明らかです。
「学びの場」であるということです。
それは授業です。
授業こそが、学校における一番重要な機能です。
■校長先生は言いました。
「言い古された言葉ですが、教師は授業が勝負です」
授業が勝負だということは、授業の中で子どもたちの力を引き出していくということです。
子どもの限りない可能性を発掘していくということです。
教師は、まず年間1000時間あまりある授業を努力の中心に据えることです。
授業の中で、子ども達が「わかった」「できた」という思いを持ってもらうように日々教師は努力しなければなりません。
昨日の自分より、今日の自分は進歩した、成長した。
そんなことが毎日続けば間違いなく子どもの可能性を引き出しているのだと思います。
■授業が子どもたちにとってより価値あるものになるならば、間違いなく子どもたちは喜んで学校に通ってくるようになります。
自分にとってなんの価値もないと思うところに通うことこそ、本人にとって苦痛以外のなにものでもないのです。
例えば、大人でもそうでしょう。
義理で出なければならないような会議、宴会。
しかもそれが長時間に及ぶとしたら、それだけで嫌になってしまいます。
参加すれば、自分のためになる、何かが手に入る。
つまり自分にとって、何らかの価値があれば参加したいと思います。
高いお金を払ってでも参加してみたいと思います。
それと同じで、子ども達がお金を払ってでも学校に通いたいと思えたら、それが最高なのです。
それこそ子どもが喜んで通う学校ということになります。
■授業で勝負するためには、教師に相当な力量が必要とされます。
教師としての力量を高めること、それが研修です。
教師としての力量があるというのは、どういうことを指すのでしょうか。
それには少なくても三つのことが必要になります。
①優れた教育思想・教育観・児童観を持っているということ。
②たくさんの教育技術・方法・手立てを持っているということ。 ③瞬時に子どもの実態に合わせて技術・方法を選択し、用いられるということ。 |
これ以外にも、「教育課程を編成できる」ということがありますが、ひとまずおいておくことにします。
■優れた教育思想を持っているだけでは、子どもの力を引き出すことは出来ません。
優れた教育思想に裏打ちされた、具体的な手立てが必要となります。