【学校便り】生徒たちの姿勢の美しさ

【解説】令和4年11月8日

三学期は、それまでの教育の成果が表れてきます。

それも子供たちの姿を通して垣間見ることができます。

校長であると、ステージに立って全校生徒の前で話すことが増えます。

ステージに立つと、生徒たち一人一人の姿勢や微かな動きというのが手に取るようにわかります。

生徒たちの姿勢や話を聞く態度を見て、教育の成果の一端を校長は感じ取ることができるのです。

※初出 平成28年2月29日

◆下の写真は、2月26日に行われた生徒会役員選挙のときのものです。この写真をご覧になって何か気がつくことはないでしょうか。この写真を撮ってすぐには、私は気が付かなかったのですが、後で見てびっくりしました。あまりにも姿勢が良かったからです。姿勢が良いというより、美しささえ感じます。教師側から「姿勢を良くしなさい」と指示したわけではありません。自らの意思でこのようにしているのです。生徒たちのこの一年間の成長を感じます。

◆たかが姿勢ですが、されど姿勢です。姿勢の重要性は教育の根幹に関わることです。偉大な先達である教育哲学者の森信三は次のように言います。

「つねに腰骨をシャンと立てること」

これ人間に性根の入る極秘伝なり。

一つのことを最後までやり通す、やり抜く根本的な気力を育てるためには「腰骨を立てること」すなわち姿勢を良くすることなのだと森信三は言っているのです。

 

◆そして、子どもを育てるために、まずどうしたらいいのか。森信三は次のように言います。

教師自身が四六時中腰骨を立てつらぬくこと―そしてこれが人間的主体の確立上、最有効かつ最的確な方途だとの確信に到達し、その上でそのタネ蒔きを子供らに対しても始めること。ここに人間教育の最大の眼目あると知るべし。

教師自身がまずきちんとしなければならないと言っているのです。

 

◆私自身はどうでしょうか。姿勢について、日々振り返り気をつけるようにしていますが、反省することが多いです。特に、ギックリ腰を4回やって以来、ギックリ腰防止のためにも気をつけるようにしています。何人かの整体師の方やマッサージの方に見てもらうたびに、「背中が丸まっていますよ。そのために腰に負担がかかっています」等とアドバイスを受けています。校長室で椅子に座る時はどうか、全校集会時のときはどうかなど意識していますが、ともすればだらしなくなってしまうことが何度もあります。校長自らがきちんとできないで、どうして生徒たちに指導できるでしょうか。自分の未熟さとの闘いです。

 

◆日々の教育活動とは、瑣事(さじ「取るに足らないつまらないこと・ささいなことの意」)の積み上げです。廊下にゴミが落ちていたら拾う。靴をきちんと揃えて靴箱に入れる。挨拶をする。呼ばれたら「ハイ」と返事をする。こうした諸々の積み上げの上に教育は成立しているのです。日々の教育とは実に泥臭く、地味なものです。

 

◆生徒たちは、この1年間で体育祭や学校祭などの大きな行事やさまざまな活動、日々の授業を通しながら成長してきました。3月14日、中学校にとって最大の儀式である卒業式があります。中学校の卒業式は、3ヵ年の卒業という意味合いより、義務教育9ヵ年の集大成という意味合いが強いものです。この一枚の写真を見ながら、卒業式もきっと素晴らしいものになるのだろうなと思いました。

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