【学級づくり】「学級風土」は重要です・その1
ある教師の体験談です。
一学年3学級あったときのことです。
4月の子供との出会いの当初。
学級の子供の名簿を他の教師が見て、
「いい子供達ばかりでしょ。いい学級になるわよ。他の学級よりやりやすいわよ」
などと言われて、内心悪い気もしないで、「そうかな」などと半信半疑でいました。
出会いから一週間ほど経ち、隣の学級と比べてみます。
隣の学級のベテランの先生が教えるところは、子供達が生きいきして良く変わっていくのがわかります。
それに比べて、どうでしようか。
自分の学級は「いい学級になるわ」なんて言われたのが嘘のようになっています。
子供達は、どんどん「荒れ」ていくような感じがするのです。
そして、一ヶ月もすると、その差は誰が見ても歴然としています。
「きっと指導のちがいなんだろう」と思って、ベテランの先生のすることを見てみますが、自分とは、それほど変わったことをしているようには思われません。
反対に、ベテランの教師は手抜きをしているようにも感じられます。
そして、そのうちに自分の心の中で
「こんなに子供に苦労させられるなんて思ってもみなかった。4月のとき私に言った先生は皮肉の言っていたんだ」
などと思うようになっていきます。
他の先生にたいして愚痴を言うようになっていきます。
子供が悪い。
親が悪い。
社会が悪いなどと言ってみたくもなってくるのです。
もちろん、ここに紹介したある教師の体験談は、極端なことかもしれません。
しかし、このことから確かに子供の成長を促進していくものが存在するのではないか、と私は考えたのです。
それは、同じ子であっても、上記の例のように教師が変わったり、学級が変わったりするとものの見事に変身するという事実。
それを教師になって以来、何度も見てきたからです。
同じように指導しているつもりなのだが、一年たってみると子供の成長の伸びがぜんぜん変わってくる。
何か、指導のポイント、コツといったものが存在するのだろうと考えるのです。
それは何なのだろうか。
それは、片々の教育技術といったものでしょうか。
それは、その教師の人格とか人間性といったものでしょうか。
もちろん、それらは当然無視できないことは自明のことです。
何か、片々の教育技術や教師の人間性とは別なものが学級のなかに働いて子供の成長を促進させているような気がすると私は考えました。
私は、それを「風土」と考えたのです。
その学級の風土が一人一人の子供や集団自体に働きかけて成長を促進させていくのだ、と考えたわけです。
【続く】