【集団思考論】第16回 問題解決の仕方を教える
この場面こそ、私にとって大事な教育の場面であった。
ここでもし私が「自分たちで解決しなさい」と言ったら、子供たちの中には上手に解決できないことも出てくるだろう。
それは学級づくりの初期では避けなければならない。
自分たちで解決できずに班で遊ぶこと自体を嫌がってしまうかもしれない。
学級がまとまるどころか、反対に分裂していってしまうかもしれない。
男女一緒に班全員で遊ぶことは楽しい。
遊ぶとトラブルがあるかもしれないが、やっぱり遊ぶことは楽しい。
そんな思いを一人ひとりに抱かせること。
それが大事だ。
だから、子供たちに問題解決をさせるにはもっと後でもよい。
最初から子供に任せきってしまうことは危険だ。
今指導しなければならないことは、子供たちに問題解決の仕方を教えること。
それが学級づくりの初期では大切であると私は考えていた。
問題解決のための第一歩。
それは「事実を確認する」ということである。
「休み時間来なかったというのは本当なのか、違うのか」
「勝手な行動とは、どんな行動を言うのか」
学級全員の前で確認していく。
もちろんこの話し合いは子供たちだけでは無理である。
教師の私が積極的に介入する。
「事実の確認」が終わる。
それに対して「自分の意見」を求めた後、次にすることは「解決策」を話し合わせることである。
「今度は気をつけます」といった程度の解決策しか出てこないかもしれない。
しかしそれでもよい。
大事なことは、みんなで話し合って出した「解決策」を実行させるということなのである。
そのやりなおしは、一週間も時間をおいたらダメである。
やりなおしの取り組みは、時間をあけず「即実行」である。
だから私は言う。
「それでは次の休み時間、きちんとできるかその班には班遊びをしてもらいます」
休み時間が終わって子供が満足気な顔で戻ってくる。
その時、私もまた笑顔で子どもたちを大いにほめる。
こうすることで意識と行動のずれを少なくしていくことができるのである。