【集団思考論】第18回 中教審答申にみられる集団思考の今日的意義
戦後、日本の教育に大きな影響を与えてきた機関がある。
それが中央教育審議会である。
その時々で、重要な答申を行い、日本の教育の在り方を決めてきた。
昨年の令和3年には「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~という答申を行っている。
この答申のキーワードが、「個別最適な学び」と「協働的な学び」である。
答申の18ページに次のように書かれている。
「協働的な学び」においては,集団の中で個が埋没してしまうことがないよう,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善につなげ,子供一人一人のよい点や可能性を生かすことで,異なる考え方が組み合わさり,よりよい学びを生み出していくようにすることが大切である。
「集団の中で個が埋没してしまうことがないように」し「異なる考え方を組み合わさ」るようにしていく「学び」をしていくことが大切であることを指摘している。
話し合い活動をすると、ともすれば個は集団の中に埋没しがちであった。
異なる意見を組み合わせることではなく、一つの意見に集約していくことを早急に求めがちであった。
そして、次のように書いてある。
「協働的な学び」において,同じ空間で時間を共にすることで,お互いの感性や考え方等に触れ刺激し合うことの重要性について改めて認識する必要がある。
同じ空間と同じ時間の中で、異なった個性・能力・資質をもった子供たちが、様々な意見を述べ合う。
そして、お互いがそれらの意見に触れあう。
刺激しあう。
その重要性もこれからの教育では必要だとの認識を答申は示したのである。
まさしく集団思考とは、個性の違う子供たちが意見を述べあい、お互いの意見に触れあい、刺激しあいながら成長していく教育方法なのである。