【集団思考論】第25回 集団思考成立の第一条件

集団思考の成立条件について考えてみる。

成立条件を考えてみることによって、指導のポイントが見えてくるはずである。

集団思考を単純に考えてみるために、二人という場合を考えてみる。

二人がいる。

二人とも黙っている。

当然、そのことだけで集団思考は生じない。

各々が、バラバラのことを考えているだけである。

一人が、もう一人に話しかける。

そして、それに対しても一人が答える。

「今日は天気がいいですね」

「そうですね」

この段階で、二人の間にある種の考えが生じてくる。

しかし、次のような場合はどうだろうか。

「今日は天気がいいですね」

「けさの食事がおいしかったです」

二人は、何事かを話した。

それぞれが自分の考え・気持ちを表現した。

しかし、会話は成立していない。

会話のキャッチボールがされていないのである。

一方が「天気が良い」と言っておきながら、他方はそれとは全然関係のない朝食のことについて話をしている。

こういう場合、会話が成立しているとはいわない。

会話が成立していること

このことが、集団思考の一つの条件になる。

会話成立という観点で教室の話し合い活動を振り返ってみる。

二人の会話においては「話すー聞くー話すー聞く」という形が存在している。

ところが、教室におけるこの形を作ることができていないことがあまりにも多くはないだろうか。 

誰かが話すばかり。

多くは黙ったまま。

そして悪くなると聞きもしないで、手いたずら、私語、これでは集団思考には程遠いのである。

また、みんな発表もし、聞いているようだけど、その発表内容を聞いているとバラバラということもある。

ICTを活用すると、以前より集団思考は成立しやすいが、この「会話が成立しているか」というごくごく基本的なことで授業を振り返っておく必要がある。

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