【集団思考論】第24回 書く活動で共感する心を育む
「差別を許さない心」「共感する心」を養い育てるためには、作文指導が重要だと私は考えてきた。
私の教育実践の柱は、作文指導であった。
「死のうと思った」と書いた子の作文は次のような指導で生まれた。
『岩波講座 子どもの発達と教育5』(岩波書店)に掲載された「はっちゃんのことを真剣に考えるようになったぼく」という6年生の作文を読んで聞かせる。
子ども達は真剣に聞く。
それだけこの作文には力がある。
読み終わって、私はこの作文についての説明はしない。
余分な説明することなしに次の指示を出す。
「体験したことで悲しかったこと、うれしかったこと、悔しかったこと等を一文にして書き出しなさい」
子ども達は、ノートに一文にして書き出していく。
なかなか書き出せない子もいる。
そこで
「どんなに小さなことでも構いません。ともかく沢山書き出しなさい」
とアドバイスする。
書き終わったら、
「その書き出した中から、作文にしたい、作文できると思うものに丸を付けなさい」
と指示。
そして、作文させる。
良く書けている作文、学級全体に紹介したい作文等を本人の承諾のもとで学級全員の前で読む。
その時、名前を明らかにして読むこともあれば、名前を伏せて読むこともある。
友達の作文から思ったこと、感じたこと等を簡単に発表させる。
そして、再び同じテーマで書かせる。
子ども達の書いた作文の中から、いくつかを学級通信に載せ親達にも紹介する。
学級では、その通信を子ども達に読んで聞かせる。
こうすることで学級の中に「共感する心」を育んでいくのである。