【読書】安藤寿康著『なぜヒトは学ぶのか』(講談社現代新書)
この本は、教育を生物学の視点から書かれたものです。
本の内容でいうと進化学、遺伝学、脳科学の3つの観点から教育というものを考えています。
著書である安藤氏は、教育について次のように書いてます。
教育とは、決して他人よりも良い成績を取ろうと競い合うためではなく、また自分自身の楽しみを追求するためだけでもなく、むしろ他の人達と知識を通じてつながりあうためにあった。その意味で、ヒトは進化的に生物学的に教育で生きる動物なのです。
前述書5ページ
「他の人達と知識を通じてつながりあうためにあった」という言は新鮮です。
おぼろげながら氏の言うように感じていたとしても、このように断定できる方はいないのではないでしょうか。
この本の中で私が気に入っている個所があります。
それが次の文です。
人間において、老人たちは、生物として、ヒトが生き残るための欠くことのできない「資源」であり、遺伝子の伝達という使命を全うしてもなおかつ、知識と知恵を伝えるという重要な役割を果たすことを、生物学的な使命として授けられた。それがこのヒトに独特の生活史戦略に現れていると考えられるのです
同書112ページ
ともすれば老人を邪魔者扱いにしてしまう現代社会。
老人が持っている知識や知恵というのはやはり貴重な人類の財産です。
ちょっと元気が出ました。