【書籍】『説得の技術』の前提は子ども一人一人を尊重することです。
【解説】平成30年8月30日記
教育は、生身の人間と生身の人間が相対することで、共に成長していく営みです。そのことを理解した上で、子どもを受容し、ある種の指導をしていかなければなりません。その指導するためのものの一つが「教師の言葉」です。
この『説得の技術』(明治図書)は、今から28年前、私が32歳の時に書いた本になります。自分で言うのもなんですが、今読み返してみても決して色あせてはいないと思います。今の教育でも教師には必要な技術だと思われます。
『説得の技術』の「はじめに」を紹介いたします。
はじめに
説得は、説教とは違う。
子供が問題を起こすとダラダラと話をする教師がいる。
人目もはばからず、すぐに子供を怒鳴り散らす教師がいる。
ひどいのになると、体罰をふるう教師がいる。
同じ学校の若い教師に聞かれることがある。
男の子と女の子の仲が悪いんです。
どう指導したらいいのでしょうか。
また、次のようなことも聞かれることがある。
学級に思いもかけない問題が起きたとき、どのように対処したらいいのか、わからないのです。
どうしたらいいのでしょうか。
こういった問題に対して、教師が、直接的に子供に働きかけていくもの。それは教師の言葉である。子供への語りかけである。
もし、その言葉や語りかけがもっと適切であったら、どれほど子供と教師の関係が改善されるかわからない。
「何を」「どのように」教えるのかという問題も教師にとって大切だが、子供との関係をどのように作っていくのかという問題も決定的に重要なことである。
子供との関係を作っていくもの。それが教師の子供への語りかけなのである。
子供への語りかけの一分野に説得という指導方法がある。
説得も技術であり方法である。
その説得の技術を身に付ければ、子供との関係も劇的に変わる。
学級で起こるあらゆる問題にたいして、教師は冷静に対応できるようになる。
ダラダラした説教や、子供を怒鳴り散らしたり体罰したりすることがなくなるのである。
坂本光男氏は、「説得は教育における最高の指導方法である」と述べている。
現在の社会状況の中にあって、この説得の技術は、もっと見直されていい教育技術であり指導方法である。
本書は、子供の問題行動や学級に起きるあらゆる問題にたいして、どのように対応したらよいのかわからず悩んでいる教師に、説得という教育技術を示すことによって、私なりに答えようとしたものである。
本書が、多くの教師の参考になることを願っている。
1991年7月7日 青坂 信司
今、本棚から「説得の技術」を取り出しました。
もう一度、じっくり読み返します。
ご紹介、ありがとうございます!
持っていたんですね!
ツウですね。
ありがとう!