【自己研修通信】~学習指導要領が求める教師の子どもへの接し方~

※「新・精進」第20号 発行日 平成30年10月5日

※一部修正

◆今月27日に豊富町で私のセミナーを開催していただける。五十嵐君と一緒に行く予定である。学級経営について話す。学級経営とは、あくまで学校生活や学習の基盤である。基盤だということは、中心ではない。学校における中心はやはり授業である。授業改善こそ学校改善の柱である。そのことを踏まえた上で、学級経営について論じる。

 

◆学習指導要領には学級経営という「章」は存在しない。しかし「総則」の中で「学級経営の充実」という用語が使われている。新学習指導要領「総則」では次のように学級経営の充実が書かれている。

児童の発達の支援

1児童の発達を支える指導の充実

 (1)学級経営、児童の発達の支援

 学習や生活の基盤として、教師と児童との信頼関係及び児童相互のよりよい人間関係を育てるため、日頃から学級経営の充実を図ること。また、主に集団の場面で必要な指導や援助を行うガイダンスと、個々の児童の多様な実態を踏まえ、一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行うカウンセリングの双方により、児童の発達を支援すること。

 あわせて小学校の低学年、中学年、高学年の学年の時期の特徴を生かした指導の工夫を行うこと 。

ここでは、学級経営の根幹は「人間関係」だと述べている。対教師、児童間の人間関係をよりよくしていくことが大切なのである。

 

◆また、学習指導要領「特別活動」の中にも、学級経営の要として学級活動が位置づいていたりする。学級経営の充実のため、人間関係をよりよくしていくために必要な教師の資質とは一体いかなるものであろうか。「特別活動」解説の中に次のように書かれている。教師の子どもへの接し方のチェックポイントとなるものである。

学級活動を始め、特別活動の教育的な成果のいかんは、指導にあたる教師の姿勢に影響されるところが極めて大きい。そこで、以下、特別活動の充実のため指導にあたる教師が留意すべき諸点を上げてみることにする。

1 教師と児童及び児童相互の人間的なふれあいを基盤とする指導であること

2 生活や児童の問題を児童と共に考え、共に歩もうとする教師の態度が大切であること

3 児童に接する際には常に暖かな態度を保持し、公平かつ重要的で児童に信頼される教師であること

4 教師の教育的な識見と適正な判断力を生かすとともに、問題によっては毅然とした態度で指導にあたる必要があること

5 児童の自発的・自主的な活動を助長し、常に児童自身による創意工夫を引き出すように指導すること

6 集団内の人間関係を的確に把握するとともに人間尊重の精神に基づいて、児童がより良い人間関係を築くように指導に努めること

私が考える教育の本質とは「生身の人間が生身の人間と相対することを通して、共に成長する営み」である。どんなにAIが進化しようと、教育は人間そのもでしかできないものである。教師と子供がコミュニケーションをとる。一般的にコミュニケーションで伝わるのは言語的内容が30パーセント、非言語的内容が70パーセントと言われている。教師は、言葉はもちろんだが、その言葉だけに頼るのではなく「笑顔」「目線」「態度」「雰囲気」等といったことにも気を配る必要がある。

さて、子どもへの接し方をもう少し具体的に「20のチェックポイント」としてまとめてみた。

 

1 教師と児童及び児童相互の人間的なふれあいを基盤とする指導であること

□いつも笑顔で子どもに語りかけていますか。

□1日に一回は、一人一人に目線を向けていますか。(目と目があいますか)

□高圧的な態度で子どもに接することはありませんか。

□子どもの言動の裏側にある感情を推測していますか。

2 生活や児童の問題を児童と共に考え、共に歩もうとする教師の態度が大切であること

□教師としての考え方を一方的に押し付けていませんか。

□子どもの話をじっくりと聞く努力をしていますか。(子どもの話の途中で、口をはさんだり、何かをしながら話を聞いたりしていませんか)

□教師には「そったく同時」が大切だということを理解していますか。

3 児童に接する際には常に暖かな態度を保持し、公平かつ受容的で児童に信頼される教師であること

□だれか特定の子だけを特別扱いにしていませんか。

□教室で一番嫌われている子、勉強のできない子、差別されている子があなたのそばに寄ってきますか。

□一人残らず「できる・わかる」ということに取り組んでいますか。

4 教師の教育的な識見と適正な判断力を生かすとともに、問題によっては毅然とした態度で指導にあたる必要があること

□自腹で年間20万円以上を研修に投資していますか。(セミナー参加、書籍購入等)

□校内はもとより校外でも、他人から学ぶ努力をしていますか。(サークルへの参加)

□学んだことを実践に生かす努力をしていますか。

□人として許せない、毅然として対応すべきことについて自分なりの考えを持っていますか。

5 児童の自発的・自主的な活動を助長し、常に児童自身による創意工夫を引き出すように指導すること

□子供のやる気・意欲を大切にした教育活動を仕組んでいますか。

□子どものささやかな工夫と思えるようなことでもきちんと認め、褒めていますか。

□子どもが活動できるようにするために、「場所・時間・物」を教室内に準備していますか。

6 集団内の人間関係を的確に把握するとともに人間尊重の精神に基づいて、児童がより良い人間関係を築くように指導に努めること

□日常の観察を大事にし、記録化していますか。

□客観的な調査(ひとりぼっち調査、QU調査、ホット等)や他の教師、保護者等からの情報を取り入れ、独善的な見方に陥らないようにしていますか。

□学級の集団づくりのための考えや手法を自分なりに持っていますか。

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