【集団思考論】第23回 「共感性の原則」

『生きる力が育つ生活指導10の原則』の冒頭に持ってきた第1条の原則が「行動化の原則」

そして最後が第10条「共感性の原則」である。

「共感する心」これは今後とも子ども達にとっては絶対に必要とされるものである。

私の担任時代、特に心をくだいて指導してきたことは、子ども達の中にある「差別的言動」をなんとかしたいということであった。

困っている子、悩んでいる子がいるのならば、少しでも力になってあげたいというやむにやまれない気持ち。

そして、その考えのバックボーンになっていたのが向山洋一氏の「差別を許さない教育思想と実践」であった。

私は子どもたちによく作文を書かせた。

いじめを題材に書かせることもあった。

その子供たちの書いた作文で、なかにはショッキングなことを書いてくる子もいた。

そんなとき、私は本人、並びに保護者の承諾の上でそれを学級全体に読み聞かせることがあった。

いじめや差別的言動を受けていたという作文は、子供たちに少なからずショックを与える。

そこには、作り事ではない、心の底から悩み苦しんできた子の気持ちが伝わっていくからだ。

新聞では「いじめを苦にして自殺した」というような記事が載ることがある。

その新聞記事を読むと、

「どこか別の世界で起きていることであって、まさか自分の身の周りでは起きるはずがない」とほとんどの方が思っている。

それこそ、子ども同士の何気無い一言や行動が特定の子どもの心を傷つけることもあるのだということを大方の大人は理解できないでいる。

しかし、私の学級ではいじめられていた子の作文を読んで、いじめということが身近に起きるかもしれない、起きているかもしれないという危機意識を持つことになっていくのである。

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